著者
坂口 健二
出版者
生物資源科学研究会
雑誌
生物資源科学 (ISSN:13440179)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.13-17, 2001-12

第二次大戦後約50年の日本の歴史は興隆の歴史であった。ところがバブル後の現在にいたる停滞期を経て、これからは緩やかな衰退期に入るのではないかと恐れられている。その原因は、第4節に述べるような日本人口の急速な減少が、動かすことのできない直接な現象であろうが、そのまた原因はどうも戦後教育が自国の誇りを唾棄すべきものとし、経済のみの発展をよしとし、自分のことしか考えないことを教えた受験教育によるものであろう。これについては第4節で述べる筆者の別の論文を参考にしていただければありがたい。ところが、35億年の生物の進化の歴史を振り返ると、生物の歴史は絶滅の歴史であることに気がつく。ある生物種が絶滅することにより次の生物種が進化し、繁栄し、また滅亡して行ったのである。その絶滅の契機になったのは、小さくは食物の獲得競争、異性の獲得競争に負けたことであるが、大きく契機となったものは、地球のマントルの大対流による大火山脈の大噴火と、小惑星の衝突のどちらかであった。これは超大陸の漂流とも密接に関連して化石年代を大きく、原生代、古生代、中生代、新生代と区切る大事件であった。この点を明記した好著は、丸山茂徳氏・磯崎雄氏の"生命と地球の歴史"岩波新書、1998、であって、前半は、この著によるところが大きい。