著者
松本 恵
出版者
福岡市立梅林中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

1. 研究目的中学生の生活習慣に関する指導の手がかりとして、生活マップを用いて中学生の多様で複雑な生活習慣の現状と課題を明らかにすることを目的とした。2. 研究方法平成20年7月、研究者が養護教諭として勤務する中学校の1~3年までの320名の生徒を対象に、総合的な学習の時間の「健康」分野の授業において、生活習慣の振り返りと自覚化を目的として、15項目の生活習慣のラベルを用いて個別に生活マップを作成させた。さらにそれらを「大切でいつもしている」「大切だけどあまりしない」「大切ではないがいつもしている」「大切でなくあまりしない」の4つに分類し、それぞれ任意に選択した1項目についてその理由を記述させた。得られたデータは、上述した4つの分類別に項目を整理し、理由については、類似した内容ごとに分類・整理した。3. 研究成果全体的な傾向として、生活習慣のばらつきの大きい項目は「早起き」「間食」「団らん」であり、それぞれ捉え方の差異や家族のライフスタイルの影響を受けている傾向が見られた。ばらつきの小さい項目は「テレビ視聴」(「いけない」と理解しているもつい見てしまう)、「早寝」(夜型傾向)、「朝食」(重要性を理解し摂る)、「入浴」(清潔志向)であった。男女差、学年差は見られなかった。さらに、生活マップの作成を通して、自らの生活習慣上の課題について自覚し、改善につながる種々の「気づき」を得ることができていた。全体的な傾向から外れ、個別の課題を有する少数の生徒については、学級担任と養護教諭を中心とした個別の関わりが必要である。まとめとして、生活習慣については集団に共通の課題と個別の課題を有することから、教育課程における集団指導(授業)および保健室等における個別指導を行う際には、指導法の工夫・改善および関連教科間の横断的な取組を生徒の実態に応じて家庭や地域と連携し、計画的・系統的に行う必要がある。