著者
小嶋 篤
出版者
福岡県立アジア文化交流センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

大宰府の軍備は、白村江の戦い(663年)を経た「大宰府都城の造営事業(7世紀後半~8世紀第1四半期)」で整えられ、兵器生産は筑紫大宰傘下の工房が主体的に担った。大宰府に備蓄された兵器は、7世紀後半に生産されたものを多量に含み、8世紀以降の兵器も含まれる。つまり、大宰府保有兵器は、「大宰府都城の造営事業」の過程で確保された兵器を中核として、奈良時代(8世紀)を通じて補修と補充により、長期間維持されたと結論できる。大宰府に備蓄された兵器は、平時においては大宰府常備軍により守衛され、戦時下では朝廷からの勅により戦時編成された軍団によって運用されたと考えられる。