著者
山本 道成
出版者
綾部市天文館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

○研究目的各地で行われている流星電波観測の観測データをインターネットを利用して1カ所に集約し、解析およびデータベース化する流星電波観測網の構築の為に観測データから流星エコーの抽出などをおこなうプログラムやデータ転送システムの開発と実験を行う。○研究方法GPSを用いて時刻同期したサンプリングが可能なADボードを使用して観測された各地の観測データを集めて解析し、ノイズと流星エコーを抽出するプログラムを複数作成した。それぞれのプログラムを単独または複数の組み合わせによるエコーの検出精度を確かめた。特に流星群(ペルセウス座流星群、しし座流星群、ふたご座流星群)時のデータを主に使用した。また、インターネットを利用して転送できる程度のデータの圧縮と転送実験を試みた。転送実験にはNASを用いた簡易サーバを作成し、LAN上での転送実験を行った。○研究成果エコーの抽出精度に関しては、雷や飛行機によるノイズなど特定の物に関してはほぼ分離可能となった。しかしその他のノイズについてはエコーとの分離精度が実用には不十分なため、今後さらに精度を高める必要がある。また、観測地や時間帯によってはノイズの種類や性質が異なるため、それぞれの地点に合わせて解析プログラムの調整を施す必要があることがわかった。使用するパソコンの処理能力にもよるが、解析処理にかかる時間が観測時間と同等かそれ以上に必要であった。特に流星電波観測に使用されているパソコンの処理能力はさほど高くないため、現状では観測と解析をリアルタイムで行うのは難しいことがわかった。また、今回、観測に使用したサンプリングが200kbyte/s×2chであるため、1時間あたり1.5Gbyteものデータとなることも処理時間の問題に大きく関係している。今後、観測に使用するサンプリングも含めて検討が必要である。