著者
押岡 大覚 鎌倉 利光
出版者
聖泉大学紀要員会
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.25, pp.19-30, 2018

本研究では,コ・ファシリテーター方式,一泊二日の宿泊形式により実施されたフォーカシング指向グループ("Focusing-oriented" Group:以下,F.O.G.)ワークショップ参加者から得られた《満足した点》及び《不満足な点・心残り・気がかり》に係る自由記述について,テキストマイニング及び多変量解析による分析を施し,F.O.G.のグループ・プロセスに関する仮説の生成を目的とした。その結果,《満足した点》では「自分のフェルトセンスの感受」,「メンバーの発言への傾聴体験」,「メンバーが言語化したフェルトセンス」,「グループでの気づき」,「聴くことの大切さへの気づき」,「集団雰囲気の感受」,「フェルトセンスの尊重」という構成概念が抽出され,それらをもとに仮説が生成された。一方《不満足な点・心残り・気がかり》では,「発言することへの憂慮」,「自分が言語化したフェルトセンス」,「メンバーとの心理的距離感」,「自分のフェルトセンスが感じられない」という構成概念が抽出され,それらをもとに仮説が生成された。ただし,これらの仮説は第3回から第5回F.O.G.モデル構成から得られたものであり,これまで,あるいはこれ以降実施されるF.O.G.モデル構成全般に汎化して考えられるか否かについては,一定の保留が必要である。