- 著者
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橘保國 畫圖
- 出版者
- 芸艸堂
- 巻号頁・発行日
- 1800
江戸時代の「絵本」は、画業志望者用の絵手本であった。本書もその一つで、大坂の絵師橘保国(号、後素軒:1715-92)の描いた草木画集である。図の脇に「花朱 生エンシ クマ」などとあるのが、絵具の使用法である。もっとも、指示の無い品も多い。掲載品は全163品(品種を含めず)で、外来品も少なくない。その花期・花色・形状などは図とは別の頁に詳しく記されているが、記文の約半数は『草木弄葩抄』(特1-2485)の文をそっくり、あるいは部分的に用いている。ただし、序文などにそのことを触れていない。107-194本は、初版と同じ版木を用いた文化3年(1806)後刷本である。(磯野直秀)