著者
明李時珍撰
出版者
野田彌次右衞門刊
巻号頁・発行日
1637

『本草綱目』和刻本には次の3系統14種がある:( )内は同じ版木を用いた種類数―1.寛永14年本(6種)、2.万治2年本(3種)、3.寛文12年本(5種)。本資料は1.に属し、しかも刊記に「寛永十四年初春吉日/魚屋町通信濃町/野田弥次右衛門開板」とあるので、京都の書肆野田弥次右衛門が日本で最初に翻刻した寛永14年(1637)の初刊本と思われる。当館は、1.系統の稲生若水校訂本(特1-970:和刻本のなかで最良という)、2.系統の松下見林訓点本(特1-894)、3.系統の『[校正]本草綱目』(499.9-R45h-s)および『[和名入]本草綱目』(157-42)なども所蔵する。3.の系統は貝原益軒著の附録1冊(『本草綱目品目』と『本草名物附録』から成る)を有するので、本文も貝原益軒が訓点を付したとされるが、同一漢名に対する和名が本文と附録で異なる場合が多い、本文と附録の枠の大きさが違い、附録は後からの追加と思われることなどを考え併せると、本文の校訂に貝原益軒は関与していないようである。(磯野直秀)