著者
足立 順二
出版者
静岡県埋蔵文化財センター
雑誌
静岡県埋蔵文化財センター 研究紀要 創刊号
巻号頁・発行日
no.1, pp.45-56, 2012-03-16

南信濃にある梵鐘・雲版・鰐口の一部には、奉納先の三河・遠江・駿河を離れ、伝世する例がある。むろんある時期、奉納先から人によって運ばれてきたものであるが、なぜ、どのようにして、どんなルートで運ばれたのかを検討する。またこれら仏具の型式的特徴から一部が遠江・駿河の鋳物師集団の作品であることを指摘し、今も遠江・駿河に残る仏具との近似点を取りあげて、その関係についてもふれている。このように小論は梵鐘・雲版・鰐口を単に銘文だけを取り上げるのではなく、三・遠・南信における移動の意味やそれに基づく新たな地域史を描こうとしている。
著者
武田 寛生
出版者
静岡県埋蔵文化財センター
雑誌
静岡県埋蔵文化財センター 研究紀要 第2号
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-12, 2013-06-28

古代の寺院跡や瓦窯の発掘調査で、最も多く出土する瓦は平瓦と丸瓦である。しかし、静岡県における古代瓦の研究は、軒丸瓦・軒平瓦を対象とするものが主流であり、近年資料数が増加しているにも関わらず、平瓦と丸瓦に関しては、未だ不明な点が多く残されている。本稿では、県西部にあたる遠江から出土した平瓦と丸瓦を対象に、製作技法などから分類を行い、その年代や分布の特徴を明らかにした。