著者
青木 宏之
出版者
高知短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、日本鉄鋼業における1960年代前後の生産現場の管理諸制度の変化を、大手高炉メーカーの事例分析を通じて明らかにした。第一に、職務の設計においては、下級管理職までが機能的な観点が導入され、原価や品質に関わる管理職能が付与された。さらに、第二に、そうした柔軟な働き方を評価する職能ランク制度が導入された。第三に、目標管理制度による部門業績の管理が導入され、各級管理者はより主体的な努力を求められるようになった。こうした相互補完性を持つ諸制度の構築が、現代日本鉄鋼業の現場管理システムへの直接的な契機となっていると考えられる。