著者
井波 真弓 齊藤 兆古 堀井 清之 細井 尚子 山縣 貴幸 藤澤 延行 村井 祐一 山田 美幸 熊谷 一郎
出版者
(社)可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.33, no.130, pp.11-21, 2013 (Released:2014-07-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1

『源氏物語』は11世紀初頭に書かれた日本文学の最高傑作であるが,その作者や成立順序などに関していまだに多くの謎を秘めている.本稿では,『源氏物語』を対象として3つの可視化手法を適用し,それぞれの手法や得られる情報について解説する.1つ目は,ウェーブレット多重解像度解析を用いた解析であり,助動詞の「タ形」と「ル形」の変化から作品の語りの変化を可視化している.2つ目は,助動詞の統計解析のためのテキストマイニング法で,得られた助動詞の出現頻度を基に数量化理論Ⅲ類を用いた『源氏物語』の構成の特徴抽出を行っている.3つ目は,作品にとって重要なキーワードを用いた頻度分布のパターン解析によって,『源氏物語』の雅な世界を絵画的に可視化している.