著者
小笠原 弘幸
出版者
(財)政治経済研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

オスマン帝国末期からトルコ共和国初期にかけての国民史の形成過程を、前近代の歴史叙述との関係も視野に入れつつ検討した。本研究の結果次の点が明らかとなった。近代のオスマン史家は、前近代の歴史叙述を国民史に取り込もうと試み、とくにオスマン帝国の起源の扱いに腐心した。またトルコ共和国初期に主張された公定歴史学においては、先行研究では反オスマン的な史観であるとされていたのに対し、相対的に妥当な内容で書かれていることが明らかとなった。