著者
赤堀 侃司
出版者
AI時代の教育学会
雑誌
AI時代の教育論文誌 (ISSN:24364509)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.37-42, 2021 (Released:2021-09-10)
参考文献数
17

2019 年に、国語・数学・理科の全国学力学習状況調査(平成 30 年度)の小中学生対象の B 問題から選択して、大学生に回答してもらい、小中学生の全国平均値と比較した。その結果、① 大学生は、小中学生に比べて、文章の構造や文章理解において、優れている。②しかし大学生は、小中学生と比較して、理科や数学の論理的思考力は、国語の読解力に比べて低い、ことが分かった。そこで、2020 年に、埼玉県公立高等学校入学者選抜における令和2年度の国語と社会の問題を、大学生に回答してもらい、高校受験生の平均値と比較した。その結果、③国語の問題では、高校受験生に比べて、大学生が優れた得点を示した。④しかし、社会の問題では、 大学生は、高校受験生に比べて、むしろ低い得点を示した。この結果から、国語に代表される読解力は、能力を維持するか向上していることに対して、数学・理科・社会などの推論や知識の適用に関する能力は、低下している、という知見を得た。これを、これから求められる資質・ 能力の視点から、考察した。
著者
小孫 康平
出版者
AI時代の教育学会
雑誌
AI時代の教育論文誌 (ISSN:24364509)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.13-18, 2021 (Released:2022-01-12)
参考文献数
20

本研究では,教職志望大学生269名を対象にアンケート調査を実施し,eスポーツに対する考え方やeスポーツを学校に導入する際の課題を明らかにするためにテキスト分析を行った。また,eスポーツについて説明した教職志望大学生のための情報モラル教育の指導法について検討した。その結果,135名(50.2%)がeスポーツを学校に導入することに賛成,134名(49.8%)が反対であった。反対者は,ゲーム依存や学習に影響を及ぼす可能性があり,視力低下を心配していることが明らかになった。このようにeスポーツにおけるビデオゲームに対する不安や懸念があるので,情報モラル教育の中でeスポーツの説明を通してビデオゲームと上手に付き合う方法を指導する必要性が示唆された。
著者
加藤 尚吾 加藤 由樹
出版者
AI時代の教育学会
雑誌
AI時代の教育論文誌 (ISSN:24364509)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-6, 2020 (Released:2021-09-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1

LINEのグループトークのメンバーが返信を待たせる側と待つ(待たされる)側の双方の立場に置かれているときに,それぞれの立場においてメンバーのネガティブ感情の発生の有無によるメンバーのLINEに登録されている「友だち」及び「グループ」の数の差を比較した。その結果,調査票で設定した多くの状況で,ネガティブ感情が発生する人のほうが発生しない人よりも「友だち」及び「グループ」の数が多かった。続いて,上述の結果をふまえてネガティブ感情が発生する人に注目し,ネガティブ感情の発生のタイミングと「友だち」及び「グループ」の数との関係を分析した。その結果, 主に既読状態で返信を待つ状況においてネガティブ感情の発生までの時間の長さと「友だち」及び「グループ」の数に正の相関がいくつか認められた。
著者
小孫 康平
出版者
AI時代の教育学会
雑誌
AI時代の教育論文誌 (ISSN:24364509)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.38-45, 2022 (Released:2023-04-07)
参考文献数
10

本研究では,文系大学生(経営情報学部生,教育学部・文学部・人間科学部で教職課程履修生)209名を対象に,AI(人工知能)およびソーシャルロボットに対する期待・不安に関する認識を所属やAIのイメージ(ネガティブ・ポジティブ)別で明らかにした.その結果,所属やイメージ別で認識が異なっていることが明らかになった.また,「AIと社会」の授業実践では,AIやソーシャルロボットの可能性と限界,社会的影響を考えるきっかけになったと評価しており,認識が授業の目的に沿うように変化していた.
著者
赤堀 侃司
出版者
AI時代の教育学会
雑誌
AI時代の教育論文誌 (ISSN:24364509)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-6, 2019 (Released:2021-09-10)
参考文献数
10

人工知能(以下,AIと略す)と人の特性についてチューリングテストを用いて抽出した結果を基に, 学習に適用することを目的として本研究を実施した。チューリングテストを用いて,問いかけに対してAIが答える回答と特定の人が答える回答を,60名の実験協力者に提示し,どちらの回答がAIかを判定してもらいその正答率を求めた。同時にAIの回答内容を吟味して,もし人間だと仮定したらどの年齢レベルかを推定してもらった。その結果,AIだと正答した率は17問全体の平均値が0.81と高い値であった。また人間だと仮定した時の推定年齢は,平均的にはおよそ中学生レベルと推定された。ただし,この結果は提示した問いの内容に強く依存することがわかった。さらに年齢推定において,その理由を自由記述で書いてもらい分析した結果,AIと人間の顕著な特徴が見出せた。この結果を元に, AI時代を生きる子どもたちの学習についての示唆を得た。