著者
加藤 伸一 戸崎 敏 広田 一男
出版者
Japan Society for Adhesive Dentistry
雑誌
接着歯学 (ISSN:09131655)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.148-156, 1997

新開発のグラスアイオノマー系レジンセメント「フジリュート」を中心に、セメントと象牙質との接着界面のSEM観察を行った。その結果、フジリュートはフジリュート歯面処理材 (組成: 10%クエン酸+2%塩化第二鉄) で象牙質を歯面処理した場合のみに、厚さ3~5μmの耐酸性を持つ含浸層と思われるハイブリッド層が形成されることが判明した。無処理の場合、および10%クエン酸処理の場合はハイブリッド層は形成されなかった。またビトレマールーティングセメントではハイブリット層は形成されなかった。
著者
佐藤 範幸 依本 卓見 大畑 昇
出版者
Japan Society for Adhesive Dentistry
雑誌
接着歯学 = Adhesive dentistry (ISSN:09131655)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.180-185, 1999-12-15
参考文献数
9
被引用文献数
1

新規フッ素含有接着性レジン, パナビアフルオロセメント (以下Fパナビアと略す) の抗う蝕性を, in vitroで評価した.上顎小臼歯に鋳造冠を合着し, その辺縁に人工二次う蝕を作製し, 脱灰部の進行深度を計測した.その結果, 3カ月間放置したFパナビアの場合には脱灰の最深部が鋳造冠の辺縁に到達せず, 脱灰に抵抗する層が認められ抗う蝕性が示唆された.またフジリュートに対して, Fパナビアとパナビア21が共に危険率1%で有意差を認めたことから, 接着性レジンの接着強さや接着耐久性も本実験系の結果に大きく影響していると思われた.今後は, 合着材からのフッ素の徐放量や歯質への取り込みなどを, 元素分析などより基礎的な方法によって検討を加える必要がある