著者
森口 毅彦
出版者
School of Economics, University of Toyama
雑誌
Working Paper, No.344, 2022.03, School of economics, university of toyama
巻号頁・発行日
vol.344, pp.1-84, 2022-03

1980年代の半ば頃から,管理会計研究は「実務」を対象としたフィールド・スタディなどを通して大きな展開を見せ,新たな技法が提唱されるなどきわめて活発に行われるようになった。こうして登場してきた技法は,ある程度の導入実績が見られたものの,広く普及・定着化しているとは言えないのが現状である。一方,伝統的な管理会計技法については,広く普及し,長きにわたって継続的に利用され,定着化してきているものが多い。 本研究は,実務に広く普及し,継続的に利用され定着化した管理会計技法と,十分な普及がみられず継続的な利用にも至らず定着化していない技法との相違はどこにあるのかという問題意識のもと,管理会計技法の普及ならびに継続的利用を通じた定着化に影響を与える要因を明らかにすることを目的としており,本稿はその研究の一環として2020年3月に行った「わが国企業における管理会計手法の普及と定着化に関する質問調査」の集計結果ならびにそこから得られた発見事項・検討事項等をまとめたものである。
著者
本間 哲志
出版者
School of economics, university of toyama
雑誌
Working Paper, No.343, 2022.03, School of economics, university of toyama
巻号頁・発行日
vol.343, pp.1-371, 2022-03

この論文では,Homma (2009, 2012, 2018)によって構築された一般化使用者収入モデルに基づきながら,我が国地方銀行における平穏仮説の実証的含意を明らかにする.分析の結果,効率性仮説は受容されないが,平穏仮説は受容される.加えて,ハーフィンダール指数の増加によるコスト・フロンティア上の拡張された一般化ラーナー指数(以下,EGLI)の増加と平穏仮説の成立は同値なため,独占禁止政策は正当化される.さらに,平均的な貸出残高は大きくなく,平穏仮説のみが成立するため,異時点間規則的連鎖(サイクル的連鎖)が存在する.しかしながら,コスト・フロンティア上の単一期間EGLIのサイクル的連鎖は収束に向かい,初期時点の非常に大きな値に固定化される.このため,単一期間動学的費用効率性及び単一期間最適金融財のサイクル的連鎖と同様,我が国地方銀行にとって望ましくないと判断される.