- 著者
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鄭 天雄
嶋村 正樹
- 出版者
- The Bryological Society of Japan
- 雑誌
- 蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, no.1, pp.1-5, 2019 (Released:2019-12-17)
東アジア固有種であるヒトデゼニゴケMarchantia pinnata Steph. の無性芽の形態について報告する.
ヒトデゼニゴケの無性芽は,ひょうたん型の外形を持ち,長さと幅の最大値はそれぞれ350 μm,250 μm
程度,二つのノッチには粘液毛がない.また,無性芽の縁の細胞は円錐状のマミラを持ち,パピラが散
在する.これらの形態は,ほぼ円形でより大きな外形を持ち,縁が全縁,ノッチに粘液毛を有するゼニ
ゴケの無性芽とは明らかに異なる.ゼニゴケ属における無性芽の形態の多様性は,種を識別するための
有用な形質として扱えるかもしれない.