著者
森山 剛 斎藤 英雄 小沢 慎治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J82-D2, no.4, pp.703-711, 1999-04-25

本論文では,感情を含むことによって音声に生ずる物理的変動と,そこから 知覚される感情とを線形に対応づけるモデルを提案する. 本モデルでは,日常の感情語と物理パラメータを直接対応づける代わりに, それぞれから抽出した物理的基底及び心理的基底を対応付けに用いている ため,感情語や物理パラメータの選び方に依存しないという特長を有する. また,話し手の抱いた感情ではなく聞き手側に存在する感情のステレオタイプ を基準とすることで,感情を可観測で一般性を有するものとしている. 本研究では統計的な手法を用い,まず種々の感情が含まれた音声の韻律 パラメータと心理実験によって得た主観評価値を用いて,それぞれ物理的 基底(主成分)及び心理的基底(因子)を求めた. 更にこれらの基底空間に写像した物理量及び心理量に重回帰分析を施す ことにより,音声の物理量と感情を双方向に変換することの可能な対応情報 を獲得した.

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