著者
尾崎 嘉彦 野村 将寛 大西 正輝
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J103-D, no.9, pp.615-631, 2020-09-01

ハイパパラメータ最適化は,機械学習モデルのチューニングを自動化するための実用的な技術である.本論文は,ハイパパラメータ最適化に関心のある周辺分野の研究者及び,それを実務に活用しようとするエンジニアに向けた,ハイパパラメータ最適化手法の実用に焦点を当てたサーベイである.本サーベイの目的は,ハイパパラメータ最適化手法を概説し,各手法のもつ特徴や適切な使い分けについて整理し,見通しの良い形で読者に知識を共有することである.本サーベイは,序章と終章を除いて四つの節から構成される.まずはじめに,2. においてハイパパラメータ最適化の基礎知識について解説する.その後,3. でハイパパラメータ最適化において標準的であるブラックボックス最適化,4. で近年のトレンドであるグレーボックス最適化について順に解説する.最後に,5. では逐次評価回数の上限値,並列計算リソース,ハイパパラメータの種類の観点から,状況ごとに個別に議論を行い,適切な最適化手法選択のガイドラインを与える.
著者
鳥居 淳 石川 仁 木村 耕行 齊藤 元章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J100-C, no.11, pp.537-544, 2017-11-01

ExaScaler社では,省電力スーパーコンピュータZettaScalerシリーズを開発,展開している.最初の世代であるZettaScaler-1.xでは,PEZY Computing社が開発したMIMDメニーコアプロセッサPEZY-SCを採用し,高密度実装を図ったBrickと呼ばれるサーバ集合体を,フッ化炭素系不活性液体をもちいて液浸冷却を行い,高性能,低消費電力,小型化を実現した.本論文では,このZettaScaler-1.xで開発した独自のハードウェア技術とプログラミングに関して解説する.また,現在構築中のZettaScaler-2.0について,磁界結合TCI (ThruChip Interface)によるDRAMとの3次元実装技術や,新たなBrick構造,冷却システムについて言及する.更に,エクサスケールコンピューティングに向けた今後の方向性について展望する.
著者
内田 祐介 山下 隆義
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J102-D, no.3, pp.203-225, 2019-03-01

2012年の画像認識コンペティションILSVRCにおけるAlexNetの登場以降,画像認識においては畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いることがデファクトスタンダードとなった.ILSVRCでは毎年のように新たなCNNのモデルが提案され,一貫して認識精度の向上に寄与してきた.CNNは画像分類だけではなく,セグメンテーションや物体検出など様々なタスクを解くためのベースネットワークとしても広く利用されてきている.本論文では,AlexNet以降の代表的なCNNの変遷を振り返るとともに,近年提案されている様々なCNNの改良手法についてサーベイを行い,それらを幾つかのアプローチに分類し,解説する.更に,代表的なモデルについて複数のデータセットを用いて学習及び網羅的な精度評価を行い,各モデルの精度及び学習時間の傾向について議論を行う.
著者
矢野 正基 大賀 隆裕 大西 正輝
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J102-D, no.2, pp.34-52, 2019-02-01

深層学習の分野はAlexNetの登場により画像識別精度が大幅に向上して以来,毎日のようにarXivに新たな手法が提案されるなど発展のスピードは著しい.しかし深層学習は学習に膨大な計算時間を必要とし,更なる精度向上のためには多くのハイパパラメータやData Augmentationなどを調整しなければならない.本論文では深層学習を用いた画像識別タスクにおける識別精度を向上させるためのテクニックとしてData Augmentation,学習率スケジューリング,アンサンブル手法に注目し,サーベイを行うとともに網羅的な検証実験を行うことで,できるだけ多くの知見を読者と共有することを目的としている.最後に特に精度向上に貢献したものを選択し,複合実験を行うことで定量的に評価を行い,今後の展望を述べる.
著者
小玉 秀男
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J64-C, no.4, pp.237-241, 1981-04-25

ホログラフィー,透視図表示,等高線表示あるいは各種投影図面による表示など,3次元的な立体の形状を表示するための技法が種々考案されている.ホログラフィーを除いては,いずれも3次元情報を2次元情報に変換するという手順を含んでおり,立体形状の理解や感覚的は握のためには必ずしも充分な手法とはいえない.ホログラフィーにはこの種の欠点はないものの,再生装置が必要なことや,実在しない仮想物体の表示が困難であることなどの欠点がある.従って,現在のところ立体形状の感覚的は握のためには模型を作成することが最善であるが,模型作成には手間と費用がかかり,現実に作成されることは少ない.そこでこの研究では光を照射することにより固化する性質を持つ感光性樹脂を利用することにより,立体形状を自動的に作成する手法の可能性を検討した.この手法は紫外線照射という容易に自動化されうる単一の動作のみで,極めて複雑な形状をも作成可能なものであり,3次元情報の意味する形状が自動的に作成されうるものである.3次元情報のハードコピーに相当し,計算機システムの端末機器的な利用によって,3次元情報の新たな表示法になりうるものとして提案するものである.
著者
松本 亮介 栗林 健太郎 岡部 寿男
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J101-B, no.1, pp.16-30, 2018-01-01

Webサービスのハードウェアコストや運用管理コストを低減するために採用される高集積マルチテナントアーキテクチャは,複数のユーザを同居させる特性上,ユーザ単位でセキュリティを担保するために,適切な権限分離を行う必要がある.そして,ホストに配置されるWebコンテンツを事業者が管理できないことを前提に,コンテンツに依存することなく基盤技術でセキュリティと性能を両立させるアーキテクチャが必要である.これまでに,実用上十分なセキュリティを担保しつつハードウェアの性能とリソース効率を最大化するための手法が数多く提案されてきた.また,マルチテナントアーキテクチャでは,ホスト間で権限分離だけでなく適切なリソース分離が行われる必要がある.リソース分離が不十分な場合,収容するホスト数が増えるにつれ,管理者により高負荷の原因となっているホストを特定し対処する作業の必要が生じ,運用管理コストが逆に増大してしまう.そのような運用上の問題の生じないリソース分離が可能なマルチテナントアーキテクチャの必要性も高まっている.更に,高集積マルチテナントアーキテクチャ採用時に,セキュリティを担保し,リソース分離を適切に行いながら,付随して生じる運用・保守に関するコストを低減させるためには,いかに運用技術を改善していくかが重要である.本論文では,Webサーバの高集積マルチテナントアーキテクチャにおいて,Webコンテンツをサービス事業者が管理できないことを前提に,高い性能とリソース効率を維持しつつハードウェアや運用管理コストを低減させるためのアーキテクチャについて,これまでの研究を概観するとともに,著者らによる最新の研究成果について紹介する.
著者
山内 悠嗣 山下 隆義 藤吉 弘亘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.9, pp.2017-2040, 2013-09-01

人検出とは,画像中から人が存在する位置と大きさを自動的に求める技術である.人検出は古くから取り組まれてきた顔検出の研究がベースとなっている.近年では多様な見えの変化が生じることから検出が困難とされている人画像に研究対象が遷移している.こうした中で,人検出を難しくする要因を克服するような手法が数多く提案されている.そこで,本論文では人検出を難しくする要因を整理し,この要因を克服するための特徴抽出と統計的学習手法による識別器の二つの観点から手法をサーベイする.また,人検出法を定量的に評価するために利用されている人画像データベースと統一的な評価指標についても紹介する.
著者
Manabu Hagiwara
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Communications Express (ISSN:21870136)
巻号頁・発行日
pp.2020XBL0191, (Released:2021-02-16)
被引用文献数
4

The classical insertion codes were discovered at the same time as the classical deletion codes. The quantum deletion code was presented at IEICE Communications Express last year, but quantum insertion codes were never constructed. In this article, we provide the first quantum insertion code. Its encoding is the same as the four-qubits deletion code, known as the theoretically shortest deletion code.
著者
Asuka NAKAJIMA Takuya WATANABE Eitaro SHIOJI Mitsuaki AKIYAMA Maverick WOO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E103.D, no.7, pp.1524-1540, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
40

With our ever increasing dependence on computers, many governments around the world have started to investigate strengthening the regulations on vulnerabilities and their lifecycle management. Although many previous works have studied this problem space for mainstream software packages and web applications, relatively few have studied this for consumer IoT devices. As our first step towards filling this void, this paper presents a pilot study on the vulnerability disclosures and patch releases of three prominent consumer IoT vendors in Japan and three in the United States. Our goals include (i) characterizing the trends and risks in the vulnerability lifecycle management of consumer IoT devices using accurate long-term data, and (ii) identifying problems, challenges, and potential approaches for future studies of this problem space. To this end, we collected all published vulnerabilities and patches related to the consumer IoT products by the included vendors between 2006 and 2017; then, we analyzed our dataset from multiple perspectives, such as the severity of the included vulnerabilities and the timing of the included patch releases with respect to the corresponding disclosures and exploits. Our work has uncovered several important findings that may inform future studies. These findings include (i) a stark contrast between how the vulnerabilities in our dataset were disclosed in the two markets, (ii) three alarming practices by the included vendors that may significantly increase the risk of 1-day exploits for customers, and (iii) challenges in data collection including crawling automation and long-term data availability. For each finding, we also provide discussions on its consequences and/or potential migrations or suggestions.
著者
関谷 勇司 中村 遼 岡田 和也 堀場 勝広
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J98-B, no.4, pp.333-344, 2015-04-01

現在のネットワークを取り巻く状況は,クラウドやビッグデータの普及,並びにスマートフォンやIoTといったデバイスの増加により,次の世代への変革を迎えようとしている.それにともない,これらの技術を支えるインフラである,ネットワークに求められる機能や性能も,従来の要求とは異なったものとなる.そのため,新たな要求に応えることのできるネットワークアーキテクチャが必要とされる.そこで本論文では,この新たなネットワークアーキテクチャの構築とその可能性について述べる.本論文にて提案する新たなネットワークアーキテクチャは,SDNとNFVを用いて構築される.まず,SDNとNFVに関して,その概念と技術並びに現状を解説し,最新の動向について述べる.また,Interop Tokyoにて行われた実証実験を通じて得られた,SDNとNFVの課題について述べ,その解決法について議論する.最後に,新たなネットワークアーキテクチャを構築するための技術課題と展望についてまとめる.
著者
Daiki OGAWA Koichi KOBAYASHI Yuh YAMASHITA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E104.A, no.2, pp.423-429, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1

A blockchain, which is well known as one of the distributed ledgers, has attracted in many research fields. In this paper, we discuss the effectiveness and limitation of a blockchain in distributed optimization. In distributed optimization, the original problem is decomposed, and the local problems are solved by multiple agents. In this paper, ADMM (Alternating Direction Method of Multipliers) is utilized as one of the powerful methods in distributed optimization. In ADMM, an aggregator is basically required for collecting the computation result in each agent. Using blockchains, the function of an aggregator can be contained in a distributed ledger, and an aggregator may not be required. As a result, tampering from attackers can be prevented. As an application, we consider energy management systems (EMSs). By numerical experiments, the effectiveness and limitation of blockchain-based distributed optimization are clarified.
著者
宮下 裕章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.9, pp.1003-1014, 2012-09-01

シェルクノフはリニアアレーを多項式と捉え,サブアレーを素子アンテナとみなしアレーアンテナの指向性合成を論ずるアレー原理(arrays of arrays principle)を定式化した.アレー原理は多くの応用を生んだが,根本原理の数学的分析が十分であるかについては疑問が残る.本論文では,一般的な見地からリニアアレーを数学の対象物として再定式化する.リニアアレーのアレーファクタは代数曲線上の関数と考えるのが自然であり,アレーファクタの積による分解はガロア被覆塔に対応する.塔の構造は整数の加法群から得られる射影系に一対一に対応し,最長の被覆塔はアレーアンテナの素子数を法とする整数加法群の組成列から得られる.素子数が無限の場合はエタール基本群を絶対ガロア群とした扱いができ,ガロア被覆塔から生じる全てのアレー原理を含む絶対アレー原理が定式化される.
著者
Yuta Katori Kan Okubo
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Communications Express (ISSN:21870136)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.352-357, 2018 (Released:2018-10-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2

For years, researchers have been studying the relation between earthquakes and geomagnetic field signals using observation results. Following our continuous geomagnetic observation, this report describes geomagnetic signal changes generated by earthquakes and tsunami waves. Results show that detection of their occurrence using geomagnetic field measurement is effective for providing an early alarm system for disaster mitigation. Robust detection requires the robust estimation of a geomagnetic field using multiple observation results. This study introduced a deep neural network (DNN) to estimate geomagnetic fields. Results clarified that the proposed DNN model using data of multiple axes at multiple observation points as input data provides efficient solutions for geomagnetic estimation.
著者
Lingyan Fan Jianjun Luo Hailuan Liu Xuan Geng
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Electronics Express (ISSN:13492543)
巻号頁・発行日
vol.11, no.13, pp.20140535-20140535, 2014 (Released:2014-07-10)
参考文献数
6
被引用文献数
3

AES has been one of the most popular encryption and decryption algorithms for data security applications. At the same time, data randomization (or “homogeneous”) technology was applied to reduce the bit error rate (BER) of MLC and TLC flash memory. Here, AES algorithm was found efficient to replace the orthogonal polynomials which normally carry out homogeneous function by scrambling data. This paper put forward a novel hardware architecture providing both homogeneous and data encryption/decryption functions concurrently by an embedded AES hardware engine while getting rid of randomization engine with Linear Feedback Shift Register (LFSR). It made a flash controller simple and reduced the die size because the independent homogeneous hard engine is no longer necessary for a flash memory system, in which AES security algorithm embedded. Finally a SSD controller designed in this architecture was silicon proven.
著者
箕浦 大晃 平川 翼 山下 隆義 藤吉 弘亘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J105-D, no.5, pp.372-404, 2022-05-01

経路予測は,歩行者や自動車などの移動物体が未来にどのような経路を辿るかを過去の軌跡から予測する技術である.経路予測は古くからベイズモデルやSocial Force Modelを利用して研究されてきたが,Deep Learning (DL)の発展によりConvolutional Neural Network及び,Recurrent Neural Networkを利用した手法に大きく移り変わっている.これらを利用した予測手法は車載カメラ映像視点や俯瞰視点,移動物体の位置情報や物体情報など様々な要素を組み合わせてモデル化することで高精度な経路を予測できる.特に,移動物体間の衝突を避けるインタラクションを考慮することは,多くのアプリケーションで必要となるため近年盛んに研究されている.そこで,本論文ではDLを活用した経路予測手法についてサーベイする.その中でも,インタラクションに着目した予測手法について述べつつ分類する.また,定量的評価のために使用されるデータセット及び,評価指標についても紹介する.更に,代表的なモデルについて複数のデータセットを用いて精度評価を行い,各モデルの精度及び予測結果について議論を行う.
著者
Junichi Akita
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Electronics Express (ISSN:13492543)
巻号頁・発行日
vol.14, no.9, pp.20170154, 2017 (Released:2017-05-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

The pixels in the conventional image sensors are placed at lattice positions, and this causes the jaggies at the edge of the slant line we perceive, which is hard to resolve by pixel size reduction. The author has been proposing the method of reducing the jaggies effect by arranging the photo diode at pseudorandom positions, with keeping the lattice arrangement of pixel boundaries that are compatible with the conventional image sensor architecture. In this paper, the author discusses the design of CMOS image sensor with pseudorandom pixel placement, as well as the preliminary evaluation of the fabricated CMOS image sensor.
著者
Takaaki SAEKI Yuki SAITO Shinnosuke TAKAMICHI Hiroshi SARUWATARI
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E104.D, no.7, pp.1002-1016, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
41
被引用文献数
2

This paper proposes two high-fidelity and computationally efficient neural voice conversion (VC) methods based on a direct waveform modification using spectral differentials. The conventional spectral-differential VC method with a minimum-phase filter achieves high-quality conversion for narrow-band (16 kHz-sampled) VC but requires heavy computational cost in filtering. This is because the minimum phase obtained using a fixed lifter of the Hilbert transform often results in a long-tap filter. Furthermore, when we extend the method to full-band (48 kHz-sampled) VC, the computational cost is heavy due to increased sampling points, and the converted-speech quality degrades due to large fluctuations in the high-frequency band. To construct a short-tap filter, we propose a lifter-training method for data-driven phase reconstruction that trains a lifter of the Hilbert transform by taking into account filter truncation. We also propose a frequency-band-wise modeling method based on sub-band multi-rate signal processing (sub-band modeling method) for full-band VC. It enhances the computational efficiency by reducing sampling points of signals converted with filtering and improves converted-speech quality by modeling only the low-frequency band. We conducted several objective and subjective evaluations to investigate the effectiveness of the proposed methods through implementation of the real-time, online, full-band VC system we developed, which is based on the proposed methods. The results indicate that 1) the proposed lifter-training method for narrow-band VC can shorten the tap length to 1/16 without degrading the converted-speech quality, and 2) the proposed sub-band modeling method for full-band VC can improve the converted-speech quality while reducing the computational cost, and 3) our real-time, online, full-band VC system can convert 48 kHz-sampled speech in real time attaining the converted speech with a 3.6 out of 5.0 mean opinion score of naturalness.
著者
能勢 隆
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.4, pp.556-569, 2017-04-01

HMM音声合成に代表される統計モデルに基づくテキスト音声合成は,モデルがコンパクトであるにもかかわらず,従来の波形接続方式に比べて少ない音声データで音声に含まれる話者性や感情表現・発話様式(スタイル)を合成音声に反映することができる手法として急速に利用が広まっている.本論文では,HMM音声合成を中心とし,話者やスタイル,声質を多様化する手法についてそのアイデアや実験結果なども含めて解説を行う.HMM音声合成ではスペクトルや韻律特徴量がモデル内の各状態の分布パラメータとして表現されるため,モデルパラメータの操作,モデルの拡張が容易であり,様々な多様化手法が提案されている.代表的な話者の多様化手法として話者適応,話者補間,話者強調について,またスタイルの多様化手法としてスタイルモデリング,スタイル適応,スタイル補間,スタイル制御,スタイル変換について基本的な枠組を説明する.更に声質の制御法や話し言葉音声についても概説し,今後の課題や展望について述べる.
著者
松金 輝久 武永 康彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J89-D, no.3, pp.405-413, 2006-03-01

ゲームやパズルの計算量や解法に関する研究は古くから行われている.特に最近ではテトリスのようなゲームが注目を集めている.本論文では,対戦型ゲームとして広く知られるぷよぷよを,入力として初期盤面と落下してくるピース列が与えられ,ピースを落下させることにより特定の目的を達成するパズルゲームとして定式化し,その連鎖数判定問題を考える.連鎖はぷよぷよにおける特徴的な性質であり,最大の連鎖を発生させる連鎖数判定問題がNP完全であることを証明する.