著者
竹上 健 後藤 敏行 大山 玄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J86-D2, no.2, pp.252-261, 2003-02-01

赤外線眼球運動観測装置などで観測された,頭部とカメラの相対位置が変化しない眼球画像において,瞳孔像を高精度に検出する手法について提案する.眼球の形状を球,瞳孔の輪郭を円とみなすと,瞳孔は眼球の動きに伴って見えの形状が楕円となる.この楕円形状をした瞳孔像の検出精度を高めることで安定した視線方向検出が可能となる.楕円を検出するには様々な手法が提案されており,その一つとしてハフ変換がある.ハフ変換は雑音や隠蔽などの影響を受けにくいという特徴を有しているが,一般の楕円検出では,決定すべきパラメータの自由度は5次元となるために,演算量やメモリ要求量が問題となる.一方,瞳孔は眼球中心を基準として回転するために,観測される瞳孔像は一般の楕円形状とならずに,眼球中心からの位置と方向に依存する.本論文では,この拘束条件を利用して,高精度に瞳孔を検出するための眼球モデルをベースとしたアルゴリズムについて述べる.そのアルゴリズムでは,システム全体の処理効率を考慮して,まず複数の観測画像からエッジに基づく楕円フィットによる瞳孔の初期検出を行い,それらの結果に基づいて眼球モデルのパラメータを推定する.その後,その眼球パラメータに基づいてハフ変換を行うことにより,瞳孔輪郭を高精度に再検出する.実験の結果,瞳孔輪郭検出の精度と安定性が向上しており,提案手法が有効であることが確認できた.

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