著者
林 拓世@水野
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J91-D, no.7, pp.1874-1885, 2008-07-01

日常生活からのストレスは慢性化しやすく,時に重大な疾病を引き起こすが,評価方法については未発達段階である.本研究では,情動ストレス負荷時における生理学的信号解析として,脳機能と自律神経機能の客観的評価を行った.被験者は健常成人22名とし,大学生用ストレス自己評価尺度によりストレス群と非ストレス群に分類した.測定には脳波と心電図を用い,情動ストレス負荷として安静刺激,快刺激,不快刺激の視聴覚動画像刺激を用いた.脳波周波数解析の結果,両群ともに不快刺激は安静刺激及び快刺激と比較して,相対パワースペクトル値が高値を示した.更に不快刺激は,ストレス群では相対パワースペクトル値が有意に経時的減少を示し,非ストレス群では有意な一時的,または継続的な増加を示した.自律神経機能では,非ストレス群はストレス群と比較して反応性がより高く,特に非ストレス群では安静刺激は他の刺激と比較して副交感神経機能が有意に高かった.これらのことから,ストレスと脳機能の間に関連性が示され,更にストレス時における脳機能活動は生体抵抗性と類似した傾向を示すことが分かった.

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