- 著者
-
蝦名 玲子
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.416-420, 2021-06-15
はじめに 先月号では,緊急時ならではの情報提供の特徴として,1)厳しい時間的な制約があり,2)情報も不十分ななかで,リスクやその管理方法についての説明をしなくてはならず,3)加えて,時間の経過とともに変化する状況に合わせて,リスク説明の内容も変わることを挙げた. こうした特徴がありながらも,COVID-19パンデミックの初動期に素晴らしいクライシス・緊急事態リスクコミュニケーション(Crisis and Emergency Risk Communication:CERC)を取ったことで,9割近くの国民の信頼を獲得し1),スポークスパーソンがアーティスト達から数々のラブソングを贈られたニュージーランド政府を例に,「CERCの6原則」を紹介した. わが国でもこのようにCERCを成功させたいものである.ニュージーランドのケースから,記者会見(ブリーフィングを含む)を有効に活用していたことが分かるが,今月号では,緊急時に日々の記者会見が欠かせない理由とスポークスパーソンの選定基準について,掘り下げていこう.