著者
八尾 建史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.604, 2017-05-24

定義 2002年に筆者ら1)は,拡大内視鏡を胃粘膜に応用し,世界に先駆けて早期胃癌に特徴的な微小血管構築像について報告し,従来の内視鏡で診断が困難な胃病変に対する癌・非癌の鑑別診断に有用であることを報告した.一方,正常胃粘膜においては観察されないが,毛細血管レベルまでの分解能を有する拡大内視鏡を用いても,慢性胃炎粘膜における腸上皮化生・腺腫・癌の表層に白色の物質が存在し,上皮下の血管が透見できない現象を発見した.しかしながら,当時は本物質の正体が不明であったので,白色不透明物質(white opaque substance ; WOS)と命名し,早期胃癌と胃腺腫を鑑別する新しい光学的マーカーとなりうる可能性について報告した1)(Fig. 1,2).長らく,WOSの正体は不明であったが,ついにその正体は,“上皮を含む腫瘍の表層部に集積した微小な脂肪滴であること”(Fig. 3)を明らかにした2).さらに,胃のみならず大腸のあらゆる上皮性病変についてもWOSが存在することとその臨床的意義について,報告した3).

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