著者
山下 格
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.585-587, 2011-06-15

はじめに 思春期妄想症は,村上靖彦氏らが1960年代から詳細な臨床的検討を重ねて報告した症候群である2,3)。その内容は対人恐怖と関連が深く,今もよく参照・引用される。 一方,1980年に発表されたDSM-Ⅲには,社会恐怖(DSM-Ⅳの社交不安障害)がほとんど唐突に取り上げられ,わが国で早くから知られた対人恐怖との異同が関心を呼んだ。筆者は同じ1960年代から対人恐怖の診療の際にしばしば自己の症状に妄想的意味づけをする症例を経験したが,その訴えはDSMの記載とは異なり,上記の思春期妄想症に共通するところが多かった5,6)。今回,操作的診断基準による報告との相違を検討するため,村上氏に代わって要点を紹介する。

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