1 0 0 0 覚醒剤中毒

著者
山下格 森田昭之助編
出版者
金剛出版
巻号頁・発行日
1980
著者
山下 格
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.585-587, 2011-06-15

はじめに 思春期妄想症は,村上靖彦氏らが1960年代から詳細な臨床的検討を重ねて報告した症候群である2,3)。その内容は対人恐怖と関連が深く,今もよく参照・引用される。 一方,1980年に発表されたDSM-Ⅲには,社会恐怖(DSM-Ⅳの社交不安障害)がほとんど唐突に取り上げられ,わが国で早くから知られた対人恐怖との異同が関心を呼んだ。筆者は同じ1960年代から対人恐怖の診療の際にしばしば自己の症状に妄想的意味づけをする症例を経験したが,その訴えはDSMの記載とは異なり,上記の思春期妄想症に共通するところが多かった5,6)。今回,操作的診断基準による報告との相違を検討するため,村上氏に代わって要点を紹介する。
著者
大森 哲郎 原田 勝二 日比 望 村田 忠良 山下 格
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.883-885, 1984-08-15

I.はじめに アルコールに対する生体反応には個人差が大きく,小量の飲酒でも顔面の紅潮するflushingを来す人と,多量に飲酒してもその傾向を示さない人がいる。このようなアルコール感受性の差異は,アルデヒド脱水素酵素(aldehyde dehydrogenase:ALDH)の個体差によるところが大きいことが指摘されている4)。 周知のようにアルコールは生体内で主にアルコール脱水素酵素(alcohol dehydrogenase:ADH)の作用によってアセトアルデヒドになり,次いでアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により酢酸へと代謝され,最終的には水と2酸化炭素に分解される。そのうち飲酒時の酩酊状態に関与するのはアルコールそのものとアセトアルデヒドであり,特にnushingや心悸亢進などの徴候は専ら後者の作用によることが知られている7)。またアセトアルデヒドの血中濃度を規定しているのは主としてALDHの活性である。このALDHには2つのisozymeがあり,日本人の約4割は,アセトァルデヒドと親和性の高いALDH-I(low km AL—DH isozyme, km=3μM)を遺伝的に欠いている。これを持たない個体ではALDH-II (high kmALDH isozyme, km=30μM)が代謝に与るが,ALDH-IIはアセトアルデヒドとの親和性が低いため,その濃度がある程度以上高くならないと効率よく作用しない。したがってALDH-Iを保有する個体に比べて飲酒時にアセトアルデヒドが血中に蓄積され,その直接的あるいはモノアミンなどを介する間接的な作用のために,flushingその他の中毒症状が発現すると考えられる6)。 われわれは臨床的にALDH-Iの表現型(活性の保有または欠損)を検討し,flushingとの相関を再確認するとともに,飲酒習慣およびアルコール症との関連について興味深い結果を得たので報告する。