著者
原田 憲一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.117-126, 1979-02-15

Ⅰ.まえおき 老人が妄想的になることは稀でない。しかし老人の妄想はあまり臨床医の注目をひかない。それは老人では一般に,ましてや器質性痴呆や記憶障害を多少とも示す老人ではとくに,その妄想のために実際上の処遇に困ることは少ないし,若年者の妄想の場合のように老人はその妄想をふりかざしてわれわれに立ち向ってくることが少ないからであろう。さらに,妄想のような産出性心理現象が,器質性精神症状によって形を崩されるため,精神病理学的にも関心が薄められる。いいかえれば,老人一般,とくに老人の痴呆が1つの生物学的欠陥として心理学的関心から遠ざけられる時,一緒に,そこにみられる妄想現象も関心からはずされてしまうのである。 老人の妄想を論じる場合,当然疾病学的な問題がある。妄想を伴った器質性精神病か,年をとった分裂病か,老人の妄想反応か,あるいはパラノイアやパラフレニーかなど。また器質性精神病にしても,それが老年痴呆か,動脈硬化性痴呆か,などの問題がある。しかし,ここではこの観点からの分析は敢えて行なわない。器質性痴呆のあるなし,記憶障害のあるなしに関係なく,精神障害をもって入院を余儀なくされている老人を私が臨床的に診察している過程で,私の注意を惹いた老人の妄想についての2つの側面,特徴について述べる。

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昔の文献を読もうの巻。 今の若者が高齢者になったときにみられる妄想は、こうはならないかもねえ。 https://t.co/XHfXY6bHxa https://t.co/sgOYHxoNoj

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