著者
原田 憲一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.455-465, 2018-09-20 (Released:2018-09-27)
参考文献数
53
被引用文献数
4 7

急性肝炎様の臨床像を呈する自己免疫性肝炎(AIH)は,慢性肝炎AIHからの急性増悪の他,先行する肝障害を伴わない急性発症のAIH(急性肝炎期AIH)も存在する.特に急性肝炎期AIHは自己抗体,高γグロブリン血症等のAIHに特徴的な臨床像を欠いた症例も多く,未だ診断基準は策定されていない.急性肝炎期AIHの組織学的特徴として小葉中心性壊死(CN)がよく知られているが,同様な壊死は薬物性肝障害(DILI)でも見られる所見であり,両者の組織学的鑑別は通常困難である.本稿では,AIHに見られる種々の組織所見について概説し,急性肝炎期の組織所見,DILIとの組織学的異同について紹介する.
著者
原田 憲一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

原発性胆汁性肝硬変は中年女性の好発する自己免疫性肝疾患である。特に閉経後の女性に発症し、肝内の小型胆管が選択的に傷害を受け、消失する。胆管細胞はエストロゲン受容体を有しているため、胆管細胞に対するエストロゲンの関与について検討した結果、胆管細胞はエストロゲン受容体を介したエストロゲン作用の低下に加えて、エストロゲン関連受容体を介したエストロゲン作用の阻害も原発性胆汁性肝硬変の胆管傷害および消失に関与していることが明らかとなった。
著者
北見 智恵 河内 保之 五十嵐 俊彦 牧野 成人 西村 淳 川原 聖佳子 新国 恵也 原田 憲一
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.1006-1015, 2016-10-01 (Released:2016-10-20)
参考文献数
51
被引用文献数
5 4

症例は65歳の女性で,腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘された.ダイナミックCTで肝S5に18 mm大の辺縁は早期に中央は遅延造影される腫瘤を認め内部に門脈枝が貫通していた.良性疾患として経過観察されたが9か月後腫瘤が24 mmと増大し手術の方針となった.血液生化学検査所見ではCA19-9 83.7 U/mlと上昇,HBV-Ag(−),HCV-Ab(−)であった.肝S5部分切除を行った.病理学的所見は胆管上皮類似の腫瘍細胞が豊富な間質を伴いつつ管状,樹枝状に増殖,内部に既存の門脈域が埋没し,免疫組織染色検査ではCK7,CK19,NCAM陽性,Hep-Par1,AFP陰性,EMAが腺管構造の腺腔で膜状に染色され細胆管細胞癌と診断された.背景肝に慢性肝疾患の像は認めなかった.細胆管細胞癌は比較的まれな腫瘍で慢性肝障害を背景として発症することが多いとされている.正常肝に発症した1例を経験したので報告した.
著者
角田 優子 斉川 邦和 松下 信之 原田 憲一 中沼 安二
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.716-719, 2013-10-20 (Released:2013-11-11)
参考文献数
4

Copper deposition of periportal hepatocytes indicates chronic cholestasis and it is regarded as a very important histological finding to diagnose primary biliary cirrhosis (PBC) and define its stage. Orcein stain makes copper-binding protein visible clearly and sensitively. However, there are variations in orcein staining results every institutions. In order to generalize and standardize staining method, we surveyed the methods of orcein stain at 11 institutions including our laboratory. Consequently, there were differences in staining result according to the kinds of orcein reagents and reducers. As for staining of copper-binding protein, combination of orcein reagent manufactured by Merck or Tokyo Chemical Industry and 1.5 to 3%oxalic acid as reducer is recommended.
著者
原田 憲一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.117-126, 1979-02-15

Ⅰ.まえおき 老人が妄想的になることは稀でない。しかし老人の妄想はあまり臨床医の注目をひかない。それは老人では一般に,ましてや器質性痴呆や記憶障害を多少とも示す老人ではとくに,その妄想のために実際上の処遇に困ることは少ないし,若年者の妄想の場合のように老人はその妄想をふりかざしてわれわれに立ち向ってくることが少ないからであろう。さらに,妄想のような産出性心理現象が,器質性精神症状によって形を崩されるため,精神病理学的にも関心が薄められる。いいかえれば,老人一般,とくに老人の痴呆が1つの生物学的欠陥として心理学的関心から遠ざけられる時,一緒に,そこにみられる妄想現象も関心からはずされてしまうのである。 老人の妄想を論じる場合,当然疾病学的な問題がある。妄想を伴った器質性精神病か,年をとった分裂病か,老人の妄想反応か,あるいはパラノイアやパラフレニーかなど。また器質性精神病にしても,それが老年痴呆か,動脈硬化性痴呆か,などの問題がある。しかし,ここではこの観点からの分析は敢えて行なわない。器質性痴呆のあるなし,記憶障害のあるなしに関係なく,精神障害をもって入院を余儀なくされている老人を私が臨床的に診察している過程で,私の注意を惹いた老人の妄想についての2つの側面,特徴について述べる。
著者
鎌田 東二 梅原 賢一郎 河合 俊雄 島薗 進 黒住 真 船曳 建夫 原田 憲一 藤井 秀雪 中村 利則 小林 昌廣 尾関 幸
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本語の「モノ」には物質的次元、人間的次元、精神的・霊的次元が含意されているという問題認識に基づき、日本文明の創造力の基底をなすその三層一体的な非二元論的思考の持つ創造性と可能性、またその諸技術と表現と世界観をさまざまな角度から学際的に探究し、その研究成果を4冊の研究誌「モノ学・感覚価値研究第1号~第4号」(毎年3月に研究成果報告書として刊行)と論文集『モノ学の冒険』(鎌田東二編、創元社、2009年11月)にまとめて社会発信した。また最終年度には、「物からモノへ~科学・宗教・芸術が切り結ぶモノの気配の生態学展」(京都大学総合博物館)と、モノ学と感覚価値に関する3つの国際ンポジウムを開催した。
著者
森田 実穂 上村 博 藤澤 三佳 原田 憲一 土屋 和三 上村 博 藤澤 三佳 原田 憲一 土屋 和三
出版者
京都造形芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

教育、福祉、医療の場における芸術の役割を探求した本研究成果として、学校教育における造形芸術教育環境の悪化がみられ、福祉、医療、精神医療においても、機能回復に重点をおいた造形活動が多い点を調査結果から導出した。それを改善する創造的で能動的、自由な自己表現を可能とする造形教育学習プログラムを、上記分野において、地域の市民への芸術普及活動、環境や自然科学との融合の観点も含めて開発し、実践をおこなった。
著者
松原 哲哉 原田 憲一 椎原 保 中路 正恒 上村 博 水野 哲雄 森田 実穂 曽和 治好 藤村 克裕 坂本 洋三 寺村 幸治
出版者
常磐大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

芸大と過疎地域の連携を目指す研究メンバーと芸大生が、地域の小中高生用の芸術系総合学習プログラムを作成するため、始原的な創造力を持つ「お窯」の制作やその実際的な活用を含む「ものづくり」の実践を京都市右京区の黒田村で展開。この試行をもとに、過疎地域の潜在的な価値を大学生と地元の子ども達が協働し、4種の「お窯」を使って再発見する「お窯プログラム」を開発。