著者
浅井 邦彦
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.598, 1988-05-15

1987年11月13〜14日本精神衛生学会の第3回大会が,一番ケ瀬康子(日本女子大)会長,榎本稔実行委員会長のもとで開かれた。 第一日目は一番ケ瀬会長の講演「居住環境と心の健康」が行われた。国際居住年にあたり,居住環境と心の健康の問題の重要性を強調された。WHOは国際居住年のテーマとして,ホームレスのためにシェルター造りをかかげている。世界的規模で貧困化が進み,失業と病気(アルコール中毒など)により,ストリートピーブルが増加し,更に精神病院に老人ホームから退院して帰る家のない人達が増えてくる問題のあること。そして日本では,一般住宅の狭さが問題で三世代同居が多く,老人ホームも一人当りの面積が,英国の1/3,スウェーデンの1/5であり,高齢者の自殺率が高いことは,居住環境と関係があり,個室化をすすめたホームで自殺が減少したなどのデーターを示し,居住環境の改善が心の健康にとって大切であることを強調し,都市計画などでも精神衛生の側からの積極的発言と関与が必要であるとまとめられた。

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