著者
小田 禄平 広瀬 源二郎 江守 巧
出版者
医学書院
雑誌
Brain and Nerve 脳と神経 (ISSN:00068969)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.155-160, 1985-02-01

抄録 種々の神経疾患患者の髄液中β—glucuronidase (β—GL)およびβ2—rnicroglobulin (β2—m)を測定し,各種神経疾患における測定値の検討と腫瘍マーカーとしての有用性,各種髄膜炎,特に感染性髄膜炎と癌性髄膜炎の鑑別における有用性等につき検討を加えた。対象は99例の神経疾患患者で,変性疾患群(6例),変形性頸椎症群(15例),ギランバレー症候群(8例),くも膜下出血群(6例),感染性髄膜炎群(21例),癌性髄膜炎群(9例),転移性硬膜外腫瘍群(10例),脳腫瘍群(24例)の8群に大別した。また13例の非神経疾患患者の髄液を正常対照としたがβ—GL,β2—m値はそれぞれ122.5±10.8μg/dl/hr (Mean±SEM),0.99±0.15mg/lであった。髄液中β—GL値が有意に増加した群は,感染性髄膜炎群(266.7±65.5,P<0.001),癌性髄膜炎群(249.0±54.5,P<0.001),脳腫瘍群(216.0±470,P<0.001)であった。しかし,感染性髄膜炎と癌性髄膜炎との間には有意差は認められず,腫瘍マーカーとしての有用性には乏しいと考えられた。ただし,髄膜浸潤を認める脳腫瘍例は著明に高値を示し,脳腫瘍の髄膜腔への拡がりを知る一つの手掛りとなりうると考えられた。髄液巾β2—mは種々の神経疾患で増加がみられたが,腫瘍マーカーとしての有用性には乏しかった。

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