- 著者
-
平山 惠造
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.824, 1985-08-01
◆患者に頬をふくらまさせて顔面筋の麻痺の有無をみることがある。顔面神経の比較的軽い場合の診察法の一つにあげられている。しかし頬をふくらまさせるのは顔面筋の麻痺をみているだけであろうか。 ◆頬をふくらませるには,口輪筋で強く口を閉じる必要がある。片側の顔面神経(口輪筋)の麻痺でも空気がもれて頬はうまくふくらまない。更に,も一つ閉ざさなくてはならないのは鼻咽頭で,これには軟口蓋が挙上してその上壁との間を閉じる必要がある。軟口蓋麻痺のある患者は頬をふくらますことができない。この場合には指で鼻をつまみ,界孔を閉じてやると頬をふくらますことができる。つまり,頬をふくらますには空気の出口を全て閉ざすために,口唇を強く閉じ,軟口蓋が鼻咽頭を塞ぐ必要がある。