- 著者
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松本 博之
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.1013-1017, 1993-11-01
I.はじめに 肢端紅痛症(erythromelalgia, erythermalgia)は,四肢末端の灼熱痛,紅潮,皮膚温の上昇を三主徴とする稀な症候群で,1872年にMitchell32)が初めて本症を記載した。皮膚科領域では皮膚紅痛症の用語も使用されている。現在,欧米で多用されているeryth—romelalgiaの語源はギリシャ語のerythros(赤い),me1os(四肢),algos(疼痛)であるが,Smith & Allen46)はこれでは主要症状である皮膚温上昇が表現されないので,erythrotes(赤い),therme(熱),algos(疼痛)を意味するerythermalgiaが適切であることを指摘し,本症を特発性と続発性とに分類することを提唱した。 Kurzrock & Cohen27)は成人期発症と小児期発症との分類を試みたが,これに対しては適切でないとの反論がある16)。症例の中には家族性11)のものや,常染色体優性遺伝19)を示すものも報告されている。