著者
小川 正三 崎原 宏 宮下 直之
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.199-203, 1986-02-25

抄録:脛骨の疲労骨折は決して稀なものではなく,スポーツや軍隊における報告は少なくない.しかしクラシックバレエダンサーにおける本症の報告は本邦においては稀有である.われわれはダンサーにおける本症を5例経験した.症例は男1,女4例で年齢は19歳から30歳までで何れも跳躍時に下腿に疼痛を訴え安静により軽快す.X線像で脛骨中1/3の骨幹部の前面に跳躍型の疲労骨折を認めた.尚27歳の女性の反対側の脛骨に5条,第5例24歳女性の反対側の脛骨に3条の疲労骨折によると思われる横走する骨透過像が認められた.診断は本症の存在を知っておれば困難なことはないが屡々類骨骨腫と誤診され易い.治療は安静,骨穿孔術,骨移植術などを行ったが本症の治癒は遷延され易いので先ず骨穿孔術を行うことを奨める.バレエ人口が急増しつつある今日,今後本症も増加することと思われる.

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