- 著者
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葉山 惟大
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
- 巻号頁・発行日
- vol.72, no.5, pp.132-137, 2018-04-10
summary化膿性汗腺炎は慢性・炎症性・再発性・消耗性の皮膚毛包性疾患であり,患者のquality of life(QoL)を著しく障害する.本邦では男性優位,家族歴が少ない,重症患者が多いなど海外とは異なる背景がある.病態生理は毛包を中心とした自然免疫の活性化であり感染症ではない.近年γ-secretaseの変異が自然免疫の活性化の原因であることがわかり,家族性化膿性汗腺炎患者を中心に変異が報告されている.治療は海外のガイドラインを参考に行うが,適応外の治療も多い.まず患部の外科的切除を最初に検討する.切除にて改善しない,または手術ができない場合はクリンダマイシン外用またはテトラサイクリン系抗菌薬内服,続いてリファンピシン+クリンダマイシン内服が推奨されている.上記の方法で効果がない場合はアダリムマブの投与が推奨されている.エビデンスレベルが高く,患者のQoL維持にも有用であるが,本邦では適応外であり,今後の適応拡大が望まれる.