著者
水野 昇
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.798-819, 1993-10-10

はじめに 哺乳動物の三叉神経運動核(Vm核)には咀嚼筋を支配する運動ニューロン(MN)のほか,鼓膜張筋や口蓋帆張筋を支配するMNが含まれる。咀嚼筋MNのうち,閉口筋MNはVm核の背外側亜核を形成し,開口筋MNはVm核の腹内側亜核を形成するが106,107),鼓膜張筋MNはその他のVm核MNとはやや離れて(腹方ないし腹外方)独立の小群を形成しており109,170,179)蝸牛神経核からの投射線維を受ける56)。また,口蓋帆張筋MNはVm核背内側亜核の内側縁の付近に分布するが,少数である113,190)。以上のようであるから,Vm核の主部は主として咀嚼筋MNによって形成されるといえる。 大脳皮質や扁桃体を刺激すると顎運動が起こること,また,大脳基底核が損傷されると顎運動の異常が起こることがあること,は古くから知られている。以下では,大脳皮質(主として運動野と運動前野),大脳基底核(淡蒼球外節,淡蒼球内節または脚内核,および黒質)および扁桃体(主として中心核)からVm核,とくに咀嚼筋MNへの直接的な投射系について概説する(図1)。

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大脳基底核が損傷されると顎運動の異常が起こることがある 大脳皮質,大脳基底核,および扁桃体から三叉神経運動核への投射―とくに顎運動との関連 (神経研究の進歩 37巻5号) | 医書.jp https://t.co/Ab32VvaaZt

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