2 0 0 0 Editorial

著者
竹島 靖浩 中瀬 裕之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1113, 2021-11-10

神経系は人体の機能に直結する領域であり,脳・脊髄・末梢神経を個別に扱うのではなく統合的に理解することが大切です.本邦の脳神経外科では,脳疾患に加えて脊髄脊椎疾患や末梢神経疾患の外科治療も担っていますが,各施設の事情もあり,脳疾患治療に偏る傾向が強いです.研修医時代に脊髄脊椎・末梢神経疾患にも多くかかわることがこの統合的理解に大切ですが,残念ながらすべての脳神経外科医が理想的な環境で研修できているわけではありません. しかし,日常の脳神経外科診療の現場には,脳疾患の患者に加えて脊髄脊椎・末梢神経疾患の患者が訪れます.苦手意識が大きいと「『頭』の中は問題ないですよ」と説明して,本疾患群を見落としてしまうことになりかねません.この「苦手意識」の原因について自身の研修医時代に思いを巡らせると,日常的に慣れ親しんだ脳疾患とは異なる独特の診断アプローチが必要なこと,同一疾患でさえもバリエーションが多いこと,個々の患者においても治療選択肢が複数存在することなどが挙げられました.他方,本疾患群の診断・治療に慣れ親しむようになると,これらの苦手意識の原因こそが醍醐味であり,面白さなのだと気づきました.自身のスキルで適切に診断・治療することで,目にみえて神経機能の改善が得られるため,とても大きなやりがいを感じている専門医も多いと思います.

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49巻6号「脊髄脊椎・末梢神経外科ことはじめ」 https://t.co/P9hrqZWQwB Editorial(竹島靖浩先生,中瀬裕之先生) 脳以外をまるっと! 非常に厚い(網羅的な)特集雑誌とです! 脊髄・末梢の診断,最新治療の勉強のことはじめに是非☺ ※Editorialは皆様閲覧可能です https://t.co/5Oqdc7dREH https://t.co/JxHoFxrhMJ

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