著者
川島 敏生
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.283-288, 2001-04-15

目的 下肢スポーツ傷害の理学療法評価において,下肢のアライメントや筋力の測定は重要である.アライメントは静的アライメントと動的アライメントに分けられるが,スポーツ傷害の発生を考えた場合,荷重下での動的アライメントの異常が問題となる1).一方,下肢の運動様式はSteindler2)によりOpen Kinetic Chain(以下OKC)とClosed Kinetic Chain(以下CKC)に分類された.現在はOKCは非荷重での単関節の運動様式,CKCは荷重位での多関節の運動様式とされている3)が,スポーツ場面を考えた場合,CKCの筋力がOKCより重要となる4). しかし,臨床場面で静的アライメントの測定やOKCの筋力測定は行えるが,動的アライメントの定量化やCKCの筋力測定は難しい.そこで今回,動的アライメントの定量化を試み,静的アライメントと動的アライメントの間に相関関係が認められるか否かを検討した. また,CKCとOKCの筋力測定を行い,両者の間に相関関係が認められるか否かを検討した.これにより相関関係が認められれば,日常臨床で行われている静的アライメントやOKCの筋力測定から動的アライメントやCKC筋力を推測することが可能ではないかと考えた.更に,その発生において個体要因が指摘されている膝前十字靱帯(以下ACL)を損傷5-8)した者に対して同じ評価を行い,健常者と比較することでACL損傷発生における個体側の機能的・器質的要因を検討した.

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