著者
二通 諭
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.811, 2008-08-10

私は和泉聖治の大ファンである.ピンク映画監督の父を師と仰ぎ,青春物やホームドラマ,ヤクザ物から極道Vシネマとなんでもこなせる職人監督である.野球で言えば,1~2回を確実に0点に抑える中継ぎ投手である.注目度は低いが,ハズレなしなのだ. そして,ここへ来て和泉の新作は大型刑事物エンターテイメントの「相棒―劇場版―」.設定は変えてあるものの,04年のイラク人質バッシング事件をモデルにしていることが容易にわかる骨太な社会派サスペンスである.ライバル関係にある「踊る大捜査線 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(03年)が男女共同参画を揶揄する保守路線だとすれば,本作は「自己責任」というフレーズでバッシングをあおった政治家やマスコミ,さらにはあおられた国民を指弾するプロテスト路線である.

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