著者
長谷川 泉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.30-31, 1957-12-01

昔は医師が特権階級であつた.社会的名声においても,また経済的な点からいつてもそうであつた.その頃は,医は仁術ですらあつた.だが,現在では医は算術といわれるくらい,せちがらい世の中に生きることを医師も余儀なくされている.目下保険診療の単価の値上,点数の改正をめぐつて,厚生省,日本医師会,被保険者の三つ巴の論議がかわされている.厚生省案と医師会案とが真向から対立して,その帰趨は軽々に結論を下せない実情にある.かつて自由診療であつた頃の医師はまさしく特権階級であつた.だが,保険診療になつて医師の特権的な位置はゆらいでいる. 現在の医業の実情はどうなつているのであろうか.そして医師の考えていることはどのような方向であるのか?——保険問題がやかましい折からそのような基本的な課題に答える便利な調査がある.それは東大社会学尾高邦雄教授と,統計数理研究所鈴木達三博士によつてまとめられた「医師 意見 調査 報告」である.以下このデータによつて注目すべき諸点を見てゆくことにしよう.(この調査の対象となつたのは昭和30年12月31日現在の東京都内在住の男子医師で,ランダム・サンプリングの方法によつて抽出された600名である.)

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