著者
亀口 憲治
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.215-224, 1989-04-15

1.システムズ・アプローチの理論的背景 1)家族システム論 家族療法の理論の中でも「家族システム論」は,中心的な位置を占めてきたが,わが国の心理臨床の世界では,この用語や概念的枠組がいまだ市民権を得ているとはいえない現状にある。そもそも「こころの専門職」としての心理臨床の世界に,「物や機械」の世界で使われる「システム」などという言葉を持ち込むこと自体に,不快感をあらわにする心理臨床家も少なくないようである。そこには「システム」という用語は,機械や道具の属性にのみかかわるものだとする暗黙の前提や「思い込み」があるのではないだろうか。確かに,わが国では一般的にそのような社会的文脈の中で,この用語が用いられる場合が多かったことは事実である。しかし,今日ではこの用語は,物理・化学領域だけではなく,生物学的領域でも,社会的・経済的・政治的領域のいずれでも広く用いられるようになってきている。筆者は,心理臨床の世界でもおおいに使われるべき概念だと考えている。したがって,本論では主に「人工的な機械システム」ではなく,「自然な生命システム」という意味や文脈で「システム」という用語を使うことを理解していただきたい。

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