著者
田中 愛子 藤野 裕士
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.271-284, 2018-04-01

延髄にある呼吸中枢は胎生早期に発生し,一生の間途切れることなく呼吸リズムを産生する。その中心にあるのがcentral pattern generator(CPG)であり,延髄腹側に吸息と呼息にかかわるニューロン群が縦列している。呼吸リズムは単一のニューロンから発するのではなく,CPGにある複数のニューロン活動がリズミカルに組み合わさることで,ホメオスタシスを保つための柔軟な調整を可能にしている。また,延髄には二酸化炭素とpHの変化を感知する中枢化学受容器が存在し,頸動脈小体における酸素および二酸化炭素とpHの変化に対する末梢化学受容と合わせてCPGに刺激伝達を行っている。これらのフィードバック機構は生後に発達し,環境や体内需要に合わせて呼吸を調節している。Main points●呼吸中枢は延髄にあり,腹側呼吸ニューロン群を中心としたcentral pattern generator(CPG)が呼吸リズムを産生している。●呼吸は吸息相・呼息Ⅰ/Ⅱ相の3相に分類され,少なくとも6つのニューロン群によるバーストの組み合わせでコントロールされている。●延髄には中枢化学受容器があり,PaCO2とpHの変化をCPGにフィードバックしている。●頸動脈小体にある末梢化学受容器が低酸素に反応し,PaCO2とpHの変化についても中枢化学受容器と共同してフィードバックを行っている。

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