著者
笠原 広一
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.113-128, 2019 (Released:2020-04-28)
参考文献数
51

本研究は近年,国際的な美術教育研究において注目されるArts-BasedResearch(ABR)に基づく日本での美術教育研究の可能性について検討を行ったものである。 その結果,ABRの海外での研究動向を調査すると,近年の国際学会やABRを専門とする学会や部会が成立するなど,一つの重要な研究動向となっていることが分かった。次に国内での研究動向の調査から,日本では教育学や社会学における質的研究において2000年代初頭に紹介され,演劇や社会学での実践が先行していることが分かった。近年の国際的な教育政策の連動性の中では,こうした国際的な研究動向の検討も不可欠であり,美術教育ではここ数年に研究が始まった状況であり,今後の研究が求められる。また,海外での成立の背景と歴史を整理すると,人文科学や社会科学における質的研究の発展と,そうした質的研究が芸術の特性に着目することでABRの理論化と実践化が進み発展してきたことがわかった。新しい美術教育の実践理論としての可能性も示唆され,今後は日本の美術教育研究においても理論的,実践的に検討を進める必要性がある。

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昨日開催された クレア・ビショップ特別講義「介入:政治的タイミングの芸術」 私は仕事で10分間しか聞けなかったのだけど、 ABR アート ベースド リサーチについては、こんなもとめ論文もあります 「Arts-Based Researchによる美術教育研究の可能性について」 https://t.co/INRmMUzDvB

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