著者
内田 さえ
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.83-87, 2022 (Released:2022-04-23)
参考文献数
24

鍼刺激が大脳皮質血流に及ぼす効果とその反応へのコリン作動性血管拡張系の関与について,とくに前肢刺激と耳介刺激の比較や加齢変化に着目した基礎研究を紹介する.麻酔下の成熟ラットにおいて,前肢足蹠の鍼刺激は血圧上昇を伴って大脳皮質血流を増加させる.一方,耳介の鍼刺激は血圧に影響することなく皮質血流を増加させる.いずれも求心路は刺激部位に分布する体性求心性神経である.前肢刺激による血流増加は,大脳皮質アセチルコリン(ACh)放出増加を伴い,脳内ACh受容体(ムスカリンとニコチン受容体)を介することから,頭蓋内コリン作動性血管拡張系の関与が示唆される.老齢ラットでは,ニコチン受容体(α4β2型)機能が低下するもののムスカリン受容体機能は維持され,前肢鍼刺激による大脳皮質血流増加反応は保たれる.血圧への影響が少ない耳介刺激は臨床適用しやすいと考えられる.

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https://t.co/GmiivTFyCT ラットだけど前肢と耳で脳の血流に影響でてるぅ。依存症系は耳鍼

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