著者
五十嵐 由里子
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.100, no.3, pp.321-329, 1992 (Released:2008-02-26)
参考文献数
29

腸骨の耳状面前下部に認あられる「妊娠痕」の出現状況を,いくっかの縄文遺跡の間で比較した。北海道では,観察した全ての女性人骨が妊娠痕を持ち,同時に,強い妊娠痕を持っ個体の割合が他のどの遺跡集団(三貫地,吉胡,伊川津,津雲)より高く,したがって,平均妊娠回数が他より高かったと考えられる。各遺跡集団の生存曲線の分析から,北海道では,早年死亡率が他より著しく高く,したがって,他より多産である必要があったことがわかった。結論として,縄文時代には,北海道のように出産率と早年死亡率がともに高い地域集団と,三貫地,吉胡,伊川津,津雲のように,両者とも低い地域集団があったことがわかった。

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縄文人の出産率の地域差について 妊娠痕の分析 https://t.co/2fOoo7vgWY

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