著者
入江 さやか
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.38-51, 2022-04-01 (Released:2022-05-27)

前回の東京オリンピックが開催された昭和39(1964)年の6月16日、「新潟地震」が発生した。日本海側を代表する大都市を襲ったこの地震は、「現在まで続く災害報道の形態や内容を決定した」災害とされている。 日本の災害報道の歴史を調査する過程でNHK放送博物館に、NHK新潟放送局(以下、新潟局)の放送原稿(地震発生直後から2週間分)と安否放送の原稿やメモが保存されていることが確認できた。さらに、NHK放送文化研究所に、発災当日の新潟局のラジオ放送を録音したソノシートが保管されていることがわかった。約60年前の地方局の災害発生時の原稿と放送音源がセットで残っているのは極めて稀で、災害報道史上貴重な資料といえる。 新潟地震において、テレビが被災地の外に被害を伝え、ラジオが被災地向けにきめ細かな情報を伝えるという役割も明確になった。また、「屋上カメラ」は現在のロボットカメラの先駆をなすものであった。伊勢湾台風で始まった安否放送が、さらに大規模に展開されるなど、現在の災害時の放送の原型が形づくられたのが新潟地震であった。今回の資料によって、それらの放送の実態をより具体的に知ることができた。 本稿では、新潟地震の災害報道の実態を振り返るとともに、現在の災害報道とのつながりについても考察した。

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昭和39年新潟地震 放送原稿とソノシートで振り返る災害報道 入江 さやか - 放送研究と調査 https://t.co/khWrmwrb3y

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