著者
石井 久雄 入江 さやか Hisao Isii Sayaka Irie イシイ ヒサオ イリエ サヤカ
出版者
同志社大学大学院日本語学研究会
雑誌
同志社日本語研究. 別刊 = Doshisha studies in Japanese linguistics. Special issue (ISSN:21885664)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-410, 2015-03-31

宮島達夫『雑誌用語の変遷』(1987年,国立国語研究所) が,近現代における日本語語彙の変遷を追究して,1906年から1976年までの10年ごとに,雑誌『中央公論』の各年1~12月号の全体から延べ1万語を抽出して整理したのを引き継ぎ,1986年・1996年・2006年を追加して20世紀を覆う101年間語彙表を提示する。表記の一覧も埋め込む。異なり30243語・延べ11万語であり,語種・品詞・表記の観点からの基礎的集計を前書きに添える。目次(ページ付なし), 前書き: p.i-viii, 語彙表凡例: p.ix-x
著者
入江 さやか
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-40, 2004-12

現代日本語において,実際に用いられている形容詞を選出し,その語幹の音韻構造について調査した。4冊の国語辞書のうち,3冊以上の辞書に掲載されている形容詞を選出すると,ク活用形容詞452語,シク活用形容詞272語,合計724語である。そのうちの和語650語について,出現位置別に音素分布表を作成し,和語3拍名詞と比較すると,語頭に現れる母音音素,子音音素は,和語3拍名詞,和語形容詞ともにほとんど同じであった。ただし,和語形容詞語幹末の母音音素は,著しく偏った音素分布を見せる。すなわち,和語2拍名詞の場合は,/i/のあと,/a/ /e/ /o/ /u/と続く。和語3拍名詞の場合は,/i/のあと,次に多いのは,/e/であり,続いて/a/ /o/ /u/という順になる。名詞の場合は,/i/ /e/で終わるものが多いと言える。それに対し,形容詞語幹の場合は,/a/が最も多く出現し,/i/ /e/はほとんど出現しない。
著者
入江 さやか 金 明哲
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-18, 2019-06-20 (Released:2020-06-20)
参考文献数
59

日本の方言は,これまで多くの先行研究によって,語彙・文法・音韻などの違いから,種々に分類されてきた.構造言語学的な体系的基準による分析は当然行われるべきことであるが,現実の言語行動において,実際に使用された頻度を考慮した分類も重要であると考える.そこで,本研究では,自然談話における拍のbigramの頻度データを使用し,近隣結合法を用いた系統樹を作成して,各地方言の分類を行った.その結果,北アルプスを境として,東西に分かれ,岐阜と愛知は共に西に分類できた.次に,東西の方言における拍bigramの特徴を見るために,比率差の検定を行ったところ,東では「ンダ・ネー・ダカ・ッテ・ダッ・ダヨ・ガラ」,西では「ナー・モー・(u)ーテ・ホイ・ンヤ・ンジャ・ソヤ」が,有意な差が見られる拍bigramとして上位に抽出された.
著者
入江 さやか
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.38-51, 2022-04-01 (Released:2022-05-27)

前回の東京オリンピックが開催された昭和39(1964)年の6月16日、「新潟地震」が発生した。日本海側を代表する大都市を襲ったこの地震は、「現在まで続く災害報道の形態や内容を決定した」災害とされている。 日本の災害報道の歴史を調査する過程でNHK放送博物館に、NHK新潟放送局(以下、新潟局)の放送原稿(地震発生直後から2週間分)と安否放送の原稿やメモが保存されていることが確認できた。さらに、NHK放送文化研究所に、発災当日の新潟局のラジオ放送を録音したソノシートが保管されていることがわかった。約60年前の地方局の災害発生時の原稿と放送音源がセットで残っているのは極めて稀で、災害報道史上貴重な資料といえる。 新潟地震において、テレビが被災地の外に被害を伝え、ラジオが被災地向けにきめ細かな情報を伝えるという役割も明確になった。また、「屋上カメラ」は現在のロボットカメラの先駆をなすものであった。伊勢湾台風で始まった安否放送が、さらに大規模に展開されるなど、現在の災害時の放送の原型が形づくられたのが新潟地震であった。今回の資料によって、それらの放送の実態をより具体的に知ることができた。 本稿では、新潟地震の災害報道の実態を振り返るとともに、現在の災害報道とのつながりについても考察した。
著者
入江 さやか
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.40-45, 2022 (Released:2022-04-20)

1991(平成3)年6月3日、噴火活動を続けていた長崎県の雲仙普賢岳で大規模な火砕流が発生した。この火砕流によって、NHKを含む報道各社の取材クルー、同行していたタクシーのドライバー、地元の消防団員、警察官、海外の火山学者43人が犠牲となった。火砕流に対する「避難勧告」の出ている地域で取材活動を行った結果、メディア以外の人々をも巻き込む惨事となった。報道に関わる者は、このできごとを決して忘れてはならない。大火砕流から30年目となる2021年、放送文化研究所は、長崎局に保管されていた雲仙普賢岳噴火災害の取材テープ約3,000本をデジタル化した。本稿は、これらの映像素材を保存する意義について考察した。 今回デジタル化した映像素材は、三つの点で保存の意義があると考える。第一は、報道関係者だけでなく、消防団員、警察官なども災害に巻き込まれた事実を記憶にとどめること。第二に、今後発生する火山災害に備えて、安全管理を検討する貴重な「教科書」とすること。第三に、長期間にわたる火山学者とメディアのサイエンス・コミュニケーションの貴重な記録であること、である。この大災害を風化させないためにも、今後、素材のリスト化と内容の精査を進め、活用を図っていきたい。
著者
入江 さやか
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.18-34, 2020

「令和元年台風19号(東日本台風)」は、東日本各地に記録的な豪雨をもたらした。気象庁は、過去最多となる13の都県に「大雨特別警報」を発表。長野県の千曲川や福島県の阿武隈川など8つの県の71河川・128箇所で堤防が決壊、13の都県に被害が及ぶ広域災害となった。NHK放送文化研究所では、台風19号で被害を受けた長野県長野市、宮城県丸森町・石巻市、福島県本宮市・いわき市の5つの自治体において、浸水被害が出た地域の住民3,000人を対象に、郵送法による世論調査を実施した。本稿では、このうち、長野市の調査結果を検討した。千曲川が決壊した長野市長沼地区では、回答者の8割が自宅を離れて避難場所などへの「立ち退き避難」をしていた。避難を始めたタイミングも早く、千曲川の水が堤防を越える前に大半の住民が避難していた。立ち退き避難を始めたきっかけを聞いたところ、避難勧告などの「防災情報」や、「周囲の人の声がけ」、「テレビの警戒呼びかけ」をあげた人が多かった。また、長沼地区の住民の6割は、過去の水害経験や、洪水ハザードマップ、地区内に設置された想定浸水深を示す標識などを通じて、自宅が浸水するリスクを認知していた。未明に大河川が決壊したにも関わらず、この地域では人的被害が抑えられた。その背景には、住民の防災リスクの認知と、防災情報に対する的確な反応があったと考えられる。
著者
入江 さやか
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.2-27, 2018

「平成29年7月九州北部豪雨」では、線状降水帯による猛烈な雨が福岡県と大分県にかけての同じ地域で降り続けた。短時間のうちに中山間地の中小河川が氾濫、流域の集落が浸水や土砂災害に見舞われ、福岡県・大分県での死者・行方不明者は42人にのぼった。NHK放送文化研究所は、被災した福岡県朝倉市・東峰村、大分県日田市の20歳以上の男女2,000人を対象に世論調査を実施した。本稿では、この調査結果や現地取材に基づき、避難行動や情報伝達をめぐる課題を検討した。回答者のうち、自宅などから避難場所など安全な場所に「立ち退き避難」をしたのは朝倉市で20%、東峰村で29%、日田市で21%だった。「立ち退き避難」の主要な動機は、避難勧告などの「情報」よりも、激しい雨や河川の水位の上昇などの異常な現象だった。また、「立ち退き避難」をした人の半数程度は自治体の指定避難場所以外の場所に移動していた。立ち退き避難者の多くが浸水した道路を通って移動しており、指定された避難場所にたどり着けなかったケースもあった。「土砂災害警戒情報」「記録的短時間大雨情報」などの防災気象情報や「避難勧告」「避難指示(緊急)」などの避難情報を知ったのは「NHKテレビ」と「行政からのメール」が主要な手段であった。災害時の情報入手が「メール」などネットメディアにシフトする中で、「テレビ・ラジオ」の防災・減災情報はどうあるべきかが問われる時期にきている。
著者
入江 さやか Sayaka Irie
出版者
同志社大学大学院日本語学研究会
雑誌
同志社日本語研究. 別刊 = Doshisha studies in Japanese linguistics. Special issue (ISSN:21885664)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-210, 2012-09-30

本研究は,特に音素分布および音素配列の定量的特徴に注目して,日本語の音韻の歴史を捉えようとするものである。第1章で論文の目的と背景について述べ,第2章で,各時代における音韻体系について整理し,第3章以下,上代から順に,中古,中世,現代の音韻構造について述べ,第7章で,日本語の音韻構造の歴史としてまとめ,結論と今後の課題を述べる。
著者
入江 さやか
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.48-63, 2018

平成最悪の豪雨災害となった「西日本豪雨(平成30年7月豪雨)」。気象庁は1府10県に大雨特別警報を発表し最大級の警戒を呼びかけたが、九州から東海にかけての広い範囲で河川の氾濫や土砂災害が同時多発的に発生、死者は200人を超えた。この広域かつ激甚な災害に、放送メディアはどう対応したか。近い将来発生が想定される「南海トラフ巨大地震」などへの対応を考える上でも、十分な調査・検証がなされなければならないと考える。本稿では、その検証の足がかりとしてNHKや在京民放キー局が実際に西日本豪雨をどう伝えたか、発災前から発災後の報道を時系列で示し、今後検討すべき課題を整理した。
著者
入江 さやか
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2011

Doshisha University
著者
入江 さやか Sayaka Irie
出版者
同志社大学留学生別科
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 = Bulletin of Center for Japanese Language Doshisha University (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
no.4, pp.31-40, 2004-12-25

現代日本語において,実際に用いられている形容詞を選出し,その語幹の音韻構造について調査した。4冊の国語辞書のうち,3冊以上の辞書に掲載されている形容詞を選出すると,ク活用形容詞452語,シク活用形容詞272語,合計724語である。そのうちの和語650語について,出現位置別に音素分布表を作成し,和語3拍名詞と比較すると,語頭に現れる母音音素,子音音素は,和語3拍名詞,和語形容詞ともにほとんど同じであった。ただし,和語形容詞語幹末の母音音素は,著しく偏った音素分布を見せる。すなわち,和語2拍名詞の場合は,/i/のあと,/a/ /e/ /o/ /u/と続く。和語3拍名詞の場合は,/i/のあと,次に多いのは,/e/であり,続いて/a/ /o/ /u/という順になる。名詞の場合は,/i/ /e/で終わるものが多いと言える。それに対し,形容詞語幹の場合は,/a/が最も多く出現し,/i/ /e/はほとんど出現しない。
著者
入江 さやか 西 久美子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.38-47, 2019 (Released:2019-03-20)

2018年9月6日に発生した「平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震」では、北海道のほぼ全域の電力供給が止まり、最大で約295万世帯が停電した。テレビの視聴が困難な状況になったほか、電話の通話やインターネット接続などにも影響が出た。NHKでは、地震発生当日のメディア利用動向を把握するため、北海道全域でインターネット調査を実施した。 ■地震発生当日に利用できた端末・機器は「ラジオ」が多く、「テレビ」は68%が利用できなかった。スマートフォン・タブレット端末によるインターネット通信は、発生直後から未明(午前6時ごろまで)は40%が利用できたが、その後20%台まで下がった。 ■地震に関する情報を得るのに利用したメディアは、発生直後から未明(午前6時ごろまで)は、「ラジオ(NHK)」が多かったが、午前中から夜間にかけて徐々に下がり、その一方で「家族・友人から聞いて」が多くなった。 ■利用者が多かった「ラジオ」については、NHK・民放ともに「情報が信頼できるから」「欲しい情報が得られると思ったから」などコンテンツへの評価も高いが、「他になかったから」「電力やバッテリーの消費を節約するため」という回答も目立った。 ■知りたい情報の種類によって、ラジオやポータルサイトやアプリ、ソーシャルメディアなどを使い分けている様子がうかがえた。 ■今後の大規模災害に備え、災害時のメディアの機能確保と被災者の情報ニーズに応える情報発信の強化が求められる。
著者
入江 さやか イリエ サヤカ Irie Sayaka
出版者
同志社大学大学院日本語学研究会
雑誌
同志社日本語研究. 別刊 = Doshisha studies in Japanese linguistics. Special issue (ISSN:21885664)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-210, 2012-09-30

本研究は,特に音素分布および音素配列の定量的特徴に注目して,日本語の音韻の歴史を捉えようとするものである。第1章で論文の目的と背景について述べ,第2章で,各時代における音韻体系について整理し,第3章以下,上代から順に,中古,中世,現代の音韻構造について述べ,第7章で,日本語の音韻構造の歴史としてまとめ,結論と今後の課題を述べる。現物に記載のISSN(誤植): 21850607目次: p.i-vii