著者
大井 次三郎
出版者
Japanese Society for Plant Systematics
雑誌
植物分類,地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.102-108, 1933-03-01 (Released:2017-09-25)

128)サヤマスゲ 外観マスメゲやハガクレスゲに近いものであって葉が柔く短く果〓には著しい毛茸があり痩果は中央部に凸所がない.全体に赤みを帯びた部分はないが果〓の新三角形な点やその柄の著しく長い点等はむしろDigitatae節に属するアヅマスゲ等にも近縁なものと思われる.全体緑色で穂が葉の間に隠れて居て目につき難いもので種名は此れを注意して採集せられた大津高等女学校の橋本忠太郎氏にちなんでCarex Hashimotoi OHWI とし和名はサヤマスゲと云う.129)フトホアゼスゲ 朝鮮咸鏡北道の露領国境に接した図満江の河口西水羅の湿地に産するアゼスゲ状のもので雌花小穂が太い,欧羅巴からシベリアにかけて分布するCarex gracilis CURT. に最も近いが,それよりも一層全体が小形であって葉も細く雄小穂は多くは一個で雌小穂は短く果〓は一層密に排列しその縁辺は鋭形である上,先端はC. gracilis CURt.程急には狭まらぬので別種と考える,新和名はフトホアハゼスゲと云う.130)キシウナキリ 紀伊国那智山の産,ナキリスゲに似て丈が高く,穂は下垂せず,花は疎に着き果〓は毛茸が少ない種類である.131)クロミクリゼキシヤウ 一名ミクリゼキシヤウの学名は,従来北米西部産のJuncus xiphioides E. MEV.又はその変種名が充てられて居たがそれ等はABRAMS: Illustrated Flora of the Pacific States I (1923) 368に図がある.日本産のものはそれとは別の新種のように考えられるので東京帝大植物教室の佐竹義輔氏と共同で新種として発表する事にする.此の種は現在の所では南千島から北海道を経て本州中部までの湿地に分布して居るがその産量は余り多くない様である.132)ツクシネコノメサウ 南九州の薩摩,肥後,日向の諸国に分布するネコノメサウの一種で全形がシロバナネコノメに酷似して居て花か果実がないと区別が困難である,萼片が短くて花時も緑色を呈して居る,今春鹿児島県伊集院中学校の土井美夫氏から良い標本を頂戴したので同氏にちなんでChr. Doianum OHWIツクシネコメサウと呼ぶ,MAXIMOWOCZは長崎の付近からCh. rhabdospermum MAXIM. と云う此の類に似たものを頂戴して居るがFRANCHET氏の図から判断すると之とは別物である.

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