著者
菊田 真也 山上 基行 河野 浩 堂井 真
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.463-470, 2020-09-05 (Released:2020-11-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1

全反射蛍光X線(TXRF)分析はX線を極めて低角度で試料に入射させることで試料表面の微量元素を高感度に分析する手法である.TXRFは半導体製造工程管理に広く用いられており,Siウェーハ上の汚染評価を行うことができる.半導体デバイスの微細化,高性能化の要求から半導体製造工程は年々複雑になっており,汚染評価の重要性が高まるのに伴い,TXRF測定装置の高感度化,高機能化に向けた装置開発を行っている.本稿では,データ分析の観点からTXRF分析に機械学習を応用した取り組みについて紹介する.TXRF測定で得られた約9000個のデータを教師データとして,畳み込み層が1層,隠れ層が4層のニューラルネットワークモデルに投入し,波形プロファイルと含まれる元素,含有量の関係を学習させた.その後,波形プロファイルのみを投入することで含まれる元素と含有量を推定させた.その結果,短時間測定において従来のピークフィットによる手法では見逃していた元素を検出することができ,長時間測定と同等の結果が得られた.本稿ではTXRFにおける機械学習による高感度化の可能性について論じた.

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リガクの人が出したハイスループット測定した蛍光X線スペクトルの分析にデップラ使った技術報告がおもしろかった。地味だけど、こういう使い方が地道に広がっていくのが大切だと思う。(とはいえMLに関してまだ洗練の余地はありそう) https://t.co/EnLOE04cIL

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