著者
近藤 格
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.17-21, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
5

プロテオーム解析による早期診断のバイオマーカー開発は盛んに行われてきた.しかし,臨床的な有用性が証明されて病院で使用されているものは未だ存在しない.それは,研究室でのバイオマーカー開発の限界に起因する.研究室では,常に同数に近いがん患者と非がん患者(あるいは健常者)のサンプルが比較される.しかし,通常の健康診断であれば,圧倒的にがん患者の方が少ない.そのため,実験室の条件では感度・特異度の高い早期診断バイオマーカーであっても,現実の世界ではたくさんの間違った検査結果を導くことになる.同数に近い数で発生する事象を検出ないし予測するバイオマーカーを研究対象として設定することが,現実的である.例えば,予後,再発,治療抵抗性を予測するバイオマーカーである.病態や罹患数など検査での運用を想定した臨床的な視点からバイオマーカー開発を捉えることが,成功するバイオマーカー開発のポイントではないだろうか.

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J-STAGE Articles - プロテオーム解析を用いたがんの研究:成功するバイオマーカー開発のために https://t.co/5LVmDHedk1 痛切すぎてぐうの音も出ない

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