著者
小松 徹
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.87-90, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
8

生体内には常に数千種類を超える酵素が発現しており,特定の酵素のはたらきの異常が病気の進行と関連する例が数多く報告されている.特定の疾患と関わる酵素の機能を理解することは,病気の診断,薬の開発に直結する非常に重要なものであるが,その機能は生体内の種々の要因によって動的に制御されており,いまだに,疾患との関わりが見出されていない酵素も数多く存在している.著者らは,酵素の有する活性に着目し,生体内の様々な酵素の活性を網羅的に評価する研究手法と,見出された活性の責任タンパク質を非変性電気泳動を用いた活性評価によりプロテオーム中から高精度に発見する研究手法(diced electrophoresis gel法)を組み合わせることで,生体内の様々な酵素の機能異常を活性レベルの解析から発見し,新たな創薬標的,バイオマーカーの候補タンパク質を見出す方法論(enzymeのomics = enzymomics法)の開発を進めてきた.本論文では,酵素の活性を高感度に検出する蛍光性分子を用いた解析を中心として,その方法論と展望について紹介させていただく.

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