著者
古川 哲史
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.5, pp.375-383, 2003 (Released:2003-10-21)
参考文献数
42
被引用文献数
1 1

Na+チャネル·Ca2+チャネルなどの陽イオンチャネルに比べて,Cl−チャネルの細胞機能に果たす役割は今まであまり注目されていなかった.近年,数多くのCl−チャネルcDNAのクローニング,ヒト遺伝性疾患の原因遺伝子として複数のCl−チャネル遺伝子の同定,ノックアウトマウスの解析,Cl−チャネルタンパク質結晶のX線構造解析,タンパク質相互作用によるCl−チャネル制御など,Cl−チャネルに関して画期的な研究成果が相次いで発表された.細胞内膜Cl−チャネルは細胞内小胞の酸性化に重要であり,ClC-5は腎尿細管で低分子タンパク質の再吸収に関与し,ClC-7は破骨細胞osteoclastの骨基質吸収に関与する.これらの異常はそれぞれタンパク尿と腎結石を主徴とするDent病·骨過形成を主徴とする骨化石症osteopetrosisをもたらす.細胞表面膜Cl−チャネルのClC-K1,ClC-K2,ClC-3Bは上皮細胞に特異的に発現し,一方向性Cl−輸送に関与する.これらの異常もヒト疾患と関連しており,ClC-K1の異常は尿崩症,ClC-K2の異常はBartter症候群をもたらす.

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Na+チャネル・Ca2+チャネルなどの陽イオンチャ ネルに比べて,Cl-チャネルの細胞機能に果たす役割は今まであまり注目されていなかった.近年,数多くの Cl-チャネル cDNA のクローニング,ヒト遺伝性疾患の原因遺伝子として複数の Cl-チャネル遺伝子の同定 https://t.co/aWS6DpqyHe

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