著者
吉川 公平
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.139, no.6, pp.241-245, 2012 (Released:2012-06-11)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

スピロノラクトンで代表されるミネラロコルチコイド受容体(MR)拮抗薬は,古典的な薬物であり,発見当初は「単なるカリウム保持性の降圧利尿薬」との位置づけであった.しかしながら,過去20年のあいだに臨床および非臨床試験において様々なエビデンスが蓄積し,現在では慢性心不全,原発性アルドステロン症,本態性高血圧に加え,標準治療薬の併用でもコントロール不良の治療抵抗性高血圧や慢性腎臓病に追加投与を考慮すべき薬剤になりつつある.MR拮抗薬が見直されている背景には,ライフスタイル変化(高食塩・高脂肪食摂取,運動不足,過剰ストレスなど)に伴う生活習慣病増加に関連する組織MRの活性化がある.さらに,アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の長期投与でアルドステロンが上昇してしまう,いわゆるアルドステロンブレークスルー現象の関与が示唆される.現在,既存MR拮抗薬(スピロノラクトン,エプレレノン)の改良を目指して,複数の非ステロイド型MR拮抗薬(LY-2623091,BAY94-8862,PF-3882845,XL-550,MT-3995)の臨床試験が進んでいる.近い将来,これらの化合物は「組織保護作用の強い生活習慣病治療薬」に位置づけられる可能性がある.

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