著者
池田 直史
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.23-52, 2013-03-31 (Released:2018-12-07)
参考文献数
19

公開後の長期パフォーマンスの悪さは,新規株式公開(IPO)における特徴的事実の一つとして挙げられている.本稿では1997年9月以降のIPO企業を対象にして,日本においても長期アンダーパフォーマンスが観察されるか否かを,既存研究より精級な方法で検証した.その結果,バイ・アンド・ホールド異常収益率を用いた検証では,規模や簿価時価比率の効果をコントロールしても,アンダーパフォーマンスが有意に観察された.しかし,市場別でみると,マザーズやへラクレスと異なり,東証やジャスダックではアンダーパフォーマンスが安定して観察されなかった.この1つ理由として公開時の過大評価の程度が市場間で異なることが考えられる.一方で,カレンダータイム・ポートフォリオ・アプローチによる検証では,有意にオーバーパフォーマンスが観察された.以上のことから,長期アンダーパフォーマンス現象は必ずしも安定的に観察されるものではない.

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